ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者スティーヴン キング
販売元新潮社
JANコード9784102193129
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

初めて読んだのは高校生の時だったと思いますが、秋冬編とともに時々読み返したくなる本です。
キングの小説の中では短い方ですが、読み始めるとやめ時を見つけられずに、今回もノンストップで読了しました。
やはり名作ですね。面白い。

中一の息子に買ってほしいと言われ買いました。私も以前に読みましたが、面白かったとのこと。

キングを読むならまず薦めたい本だ。長編の醍醐味もあるが、この二編の収録された本は【1】適度な長さ(読む側の負担が少ない)、【2】読後感が長編に匹敵する傑作、【3】キングファンとして特に薦めたい人を扱った話──の三点を揃えている。
キングのお楽しみはB級恐怖にもあるが、それだけではない。恐怖だろうと感動だろうと、キングは圧倒的に人間を描くのが上手いのだ。
『刑務所のリタ・ヘイワース』は、土の温度や匂いを感じ、どうしようもない救い、安堵感、そして希望と愛に胸が詰まった。人や人生に背中を向けたくなっても、いつでもこの刑務所に戻ってこれる。まだこれがある、と主人公が最後に掴んで掲げたものは(照れくさいが紛れもなく)愛だったのだと思う。
キング作品の各所に表れる、恐怖の中でも残っていく人間的な愛に焦点を当てたら、こんな作品になるように感じた。例えドン底でも、それでも人間ならば、と。
刑務所で半分人生を終えたような大人に救いが訪れる『刑務所のリタヘイワース』だが、後者は対照的だ。
どこから見ても健全な家庭の幸せな少年に闇が纏いつく『ゴールデンボーイ』は、五感を捉えて希望へと引き上げる前者の逆を行く。子供を持つ親なら怖くなるだろう。悪夢への変貌が「あまりにも自然」なのだ。日常を見る視点が変わる。それしか選択がなかったんだ、と坂を転がり加速していく石を見ている気分。だが可哀相などとは言わせない。最後で読者は主人公から突き放される。
キング作品の怖さは超常現象的な要素にもあるが、人が転がっていく闇の深さに真骨頂がある。「これではしょうがない」と闇に転がった姿すら納得させ、最後に突き放す。そのどれもが日常に行われるのだ。
対象的な二作品が収録されたこの本は、「どんなに辛くて長い夜にも朝がやってくる」ということと、「平和な日常風景だって、うかうかしていると夜の闇に飲まれてしまう」ことがよく表現されている。ヘタにB級超常現象的な要素がないのがいい。恐怖や希望のありかが、人間にあるということが良く分かる。

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新潮社から発売されたスティーヴン キングのゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)(JAN:9784102193129)の感想と評価
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