地球進化 46億年の物語 (ブルーバックス) の感想

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最近このテーマは食傷気味だなあと思いつつ、読み始めたが、本書はすばらしい。
まず、視野が広い。
次に、新しい発見がある。とくに鉱物を時間軸に位置づけた点が秀逸。
そして、ロマンがある。章のタイトルもしかり。

第３章　黒い地球
第４章　青い地球
第７章　赤い地球
第９章　白い地球
第１０章　緑の地球

こんなタイトルを付けられたら、わくわくします。
（３章は玄武岩、４章は水、７章は酸化、９章はスノーボールアースです）

図表は少ないが、著者はおそらく言葉の物語で説明し尽くそうとしている。
そして、それは成功している。ときどき顔を出す研究者のエピソードも楽しい。

著者は文才のある人なのだろう。翻訳もストレスのない日本語になっている。
このような本を発掘して紹介してくれるブルーバックス編集部に感謝。

著者は岩石物理学者で、これまであまり語られることのなかった岩と生命の共進化についてふれ、
この星がいかにしてできたか、地球のシステムの中で岩石、海洋、大気、生命体はどのように結びつき共に
進化してきたかについて解説しています。
それほど専門的な内容ではなく、高校地学をとっていれば理解できると思われます。
ただし、図版の点数が少ないので星４つの評価としました。
話題の中心は、地学主体の地球史であり、生物進化論とは異なっていますのでご注意ください。
特に印象的だったのは、１１章未来で地球温暖化について次のように語っています。
「それは人間社会にとっては大きな問題だが地球自体ほとんど影響を受けない。それは地球の終わりではない。
私たちの世界が終わるだけだ。」
地球の長い長い歴史の中で人間の存在は、かくもはかないものなのかもしれません。