パン屋の手紙: 往復書簡でたどる設計依頼から建物完成まで の感想

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参照データ

タイトルパン屋の手紙: 往復書簡でたどる設計依頼から建物完成まで
発売日販売日未定
製作者中村 好文
販売元筑摩書房
JANコード9784480878632
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購入者の感想

建築家の中村好文さんが、北海道の小さなパン屋さんから、こじんまりした新しい店舗を依頼される手紙から始まって、メールやFAXなどを含めた往復書簡を軸に、土地に根差した新しいパン屋さんが出来上がってゆくまでをつづった一冊。

依頼主のパン屋の神さんは30代半ば、パン作りという一つの技を極めて、非常にきちっとした文章を書かれる方で、建築家中村好文さんは「読ませる」文章に長けた人。

出先の本屋で偶然手に取り、パラパラめくったら面白くてやめられず、時間だからと泣く泣く置いて、後日仕事帰りに他の本屋で見つけて一気読み、それでもまた読み返したくてとうとう買ってしまった。

地鎮祭のお供え餅の代わりに三方に盛った「お供えパン」だったり、上棟式の餅撒きのかわりに「パン撒き」だったり、そんな微笑ましいエピソードの写真から、小さな男の子の憧れである庭の木の上の秘密基地、人海戦術!とばかりにレミングハウスのスタッフが左官作業やペンキ塗りに出かけてゆく光景、建築の専門家としての中村さんの厳しい言葉とそれに動揺する神さんの狼狽えたFAXまで、新しい店舗兼パン焼き場が出来て行くさまが、くっきりした文章と写真で綴られている。

神さんが何気なく書いた、窯にパンを入れたら焼き上がりは神のみぞ知る、と十字を切った修道士のエピソードを引用して、中村さんがパン焼き場を「チャペル」になぞらえてしまうあたりなどは、施主と設計士の関係を超えた交感が読んでとれたり。
(後日談として、隣町のリゾート地でレストランの設計をすることになった中村さんが、すっかり遠縁のおじちゃんと化して神さんのところに出たり入ったり(笑)しているのを見ると、元来このお二人はウマがあうタイプなんでしょう)

でもって、どころどころに挿入されるパンやお料理の写真が、本っ当に美味しそう。
読んでいると、羊蹄山のふもとの清い空気がすーっと流れ込んでくるような、いい本でした。0

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筑摩書房から発売された中村 好文のパン屋の手紙: 往復書簡でたどる設計依頼から建物完成まで(JAN:9784480878632)の感想と評価
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