アニメ<物語>シリーズヒロイン本 其ノ參 忍野忍 の感想

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忍野忍こと旧キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。
可愛らしくて、恐ろしくて、美しくて、いじらしく、そして寂しい、化物語シリーズの真のヒロインです。
西尾維新の「うつくし姫」が忍野忍の原点なら、他のヒロインたちは全てその属性の一面を具現化したもの。
その意味では構造主義的な発想でそれぞれのヒロインは構成され、配置されている。
忍野忍の生きてきた600年の中に羽川翼の強さも、戦場ヶ原ひたぎの美しさも八九寺真宵の賢さも千石撫子の魔性も全て含まれている。
信奉者たちの死体の山が彼女の内面の美しさや善良さと等価なら、これほど本人にとって残酷なことは無い。
だからこそ、たとえば千石撫子に投げかけた言葉が重い。
それが美しく描きつづられた一冊です。
冒頭のファッションショーも和服から制服、それにウェディングドレスと美しい。
坂本真綾さんの語る忍野忍像も作品とキャラクターへの深い理解が表れていて素晴らしい。
あと、何巻ヒロイン本が出るのかわかりませんが、多分、これが最高の一冊でしょう。

ところで、忍は、つまりキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの誕生日はいつか。
本作にも実はこれは明らかになっていない。「うつくし姫」にも手がかりは見当たらない。
今のところ手がかりになるのは、傾物語の56頁にある「ちょうど596歳11か月になった」との記述。
各巻の日付や曜日から化物語シリーズは2006年の世界を舞台にしているのは確かです。
この発言は時間移動の直前なので2006年8月20日のもの。つまり、忍の生まれたのは1409年の9月20日ごろのようです。
つまりジャンヌダルクよりも一世代前。多くの戦争が国家や宗教間で、そしてコレラとペストで死者の山がここかしこに築かれた時代。

「うつくし姫」の時代は忍野忍の原風景です。0