金融リスク管理を変えた10大事件 の感想
参照データ
タイトル | 金融リスク管理を変えた10大事件 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 藤井 健司 |
販売元 | きんざい |
JANコード | 9784322123463 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » ビジネス・経済 » 金融・ファイナンス |
購入者の感想
ブラックマンデーからG30とVaR、ベアリング、LTCM、バーゼル規制の進歩・範囲拡大、9.11、サブプライムとリーマンショック、バーゼル’3、そしてフラッシュクラッシュと金融リスク管理が発展してきた歴史を当事者として歩んできた著者ならではの本だと思う。具体的な事件や時代を画したレポートなどをとりあげ、市場リスク、信用リスク、オペレーショナルリスク、CVA、市場流動性、システムリスクなどの様々なリスク分野について、また、株式、債券、デリバティブ、証券化など広範な金融商品分野について、論じていて読みやすいが奥深い。
数式や出来上がった後の規則では分からない(分かったと感じられない)リスク管理の機微を、リスクに直面し対処してきた著者が解き明かす記述は、読みやすいが含蓄が深い。規制当局側から描かれることが多かったバーゼル規制の進展についても民間でリスク管理を発展させてきた側からの記述は(G30やIIFなどのレポートの紹介もあり)、当局側と民間とのやりとりの密度を感じさせる。
その意味で、サブプライムショック以降の規制強化、逆グローバル化ともいえる動きへの危機意識を持った対応(一方的な強化にならないためにも民間のリスク管理が向上していかねばならないとの問題意識)は、この分野にいる読者には使命感の強さとして伝わってくるだろう。
また、バーゼル’’Uでオペレーショナルリスク管理の先進的手法を切り開いた著者の記述だからこそ、9.11とBCP、そして訓練の重要さの指摘(分厚いマニュアルは役立たない)は説得力を持つ。明快な理論的な整理と実務での現実への取組みを長年積み重ねた著者の経験の厚みを感じる。ありがたいのは、リスクマネージャーという職種の先駆者ならではのこの分野の関係者、後輩に対する著者の視線の暖かさである。経験をおしみなく分かちあう記述内容は著者の人柄を感じさせる。
おそらくは、各金融機関のリスク管理レベルの向上がそうした金融機関と取引する側のリスクを結果として軽減させ、市場の活性化や新業務の発展に不可欠とお考えなのかもしれない。
数式や出来上がった後の規則では分からない(分かったと感じられない)リスク管理の機微を、リスクに直面し対処してきた著者が解き明かす記述は、読みやすいが含蓄が深い。規制当局側から描かれることが多かったバーゼル規制の進展についても民間でリスク管理を発展させてきた側からの記述は(G30やIIFなどのレポートの紹介もあり)、当局側と民間とのやりとりの密度を感じさせる。
その意味で、サブプライムショック以降の規制強化、逆グローバル化ともいえる動きへの危機意識を持った対応(一方的な強化にならないためにも民間のリスク管理が向上していかねばならないとの問題意識)は、この分野にいる読者には使命感の強さとして伝わってくるだろう。
また、バーゼル’’Uでオペレーショナルリスク管理の先進的手法を切り開いた著者の記述だからこそ、9.11とBCP、そして訓練の重要さの指摘(分厚いマニュアルは役立たない)は説得力を持つ。明快な理論的な整理と実務での現実への取組みを長年積み重ねた著者の経験の厚みを感じる。ありがたいのは、リスクマネージャーという職種の先駆者ならではのこの分野の関係者、後輩に対する著者の視線の暖かさである。経験をおしみなく分かちあう記述内容は著者の人柄を感じさせる。
おそらくは、各金融機関のリスク管理レベルの向上がそうした金融機関と取引する側のリスクを結果として軽減させ、市場の活性化や新業務の発展に不可欠とお考えなのかもしれない。