七つの会議 の感想

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参照データ

タイトル七つの会議
発売日販売日未定
製作者池井戸 潤
販売元日本経済新聞出版社
JANコード9784532171162
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 経済・社会小説

購入者の感想

大手総合電気の雄であるソニックの子会社の東京建電を舞台にした八つの短編で成り立つ人間模様。
第一話で東京建電の秘密がほのめかされ、それに沿って、それぞれの短編は展開される。

第二話の「ネジ六奮闘記」の以下は、池井戸氏の小説を読む方であれば、共感する人も多いのではないか。
『一本いくらもしないネジで、日本中で果たしてどれくらいの人が食っているのかはわからないが、ひとつ言えるのは、どんな時代でも、それで大儲けすることはできなかったろうということだ。ネジを作る人間に求められるのは、ひたむきさだ。』

日本の産業を根底で支えている産業は、ネジだけではないだろうが、グローバル経済は飲み込んでいく。がんばれば報われるということもあるが、出し抜いてやろうという勢力は必ずあるのが、この資本主義社会である。自分の成功が、誰かの失敗につながる社会である。活力を生むという意味で資本主義社会はよいかもしれないが、やはり、足るを知る、ということも必要である。しかし、全ての人が足るを知るということをするわけではなく、日々の平凡な暮らしの中にはどうしても競争はある。その競争の中で、負けん気やわがままが、判断を曇らせる。

そして、この小説で問うているのは、
 ①苦しい事情がある時に、常に正しく判断できるか
 ②自分の想像を超えた甚大な影響のあるトラブルに
  遭遇した際に、果たして正しい判断ができるか
ということである。
私は自信がない。
池井戸氏の小説には、そのような判断を事前にシミュレーションする効用があるように思う。

先が読みたくてしかたなくなった。
一日で読み切ってしまった。
働く人は是非読んでほしい。
「会社」はこういうもの!
すばらしい作品!

その会社に関わるいろんな人の立場から、ある一つの真実について追求していくビジネス小説。設定が細かく、その人達の思考や行動の背景もうかがうことができ、物語をより深く感じさせてくれた。それぞれの思考や行動の意図が繋がったとき、、、しびれました。自分が当事者だったらとるべき行動をとれただろうかと、自問自答をしたけど、回りに流されてしまうかもしれない。ただこの本を読んだ今、もうちょっと強く立ち向かえそうな気がする。とにかくサラリーマンであれば、登場人物と自分を重ねて思うこと、感じることがたくさんあると思う。

ずっと池井戸潤さんの作品は読んでいましたが、『空飛ぶタイヤ』を最高峰として、以降は低調だと思って
いました(※個人の感想です♪)。
池井戸作品の魅力として、具体的な業務の詳細や現場の葛藤のリアルさがあると思います。だからこそ、
現場や業務のあれこれは違っても、それなりに経験のある社会人にとって登場人物に感情移入もし、先々
の展開に手に汗握る部分もあったのだろうと。

しかし、最近の『鉄の骨』や『下町ロケット』(それぞれ映像化もされましたね)、人気が高いシリーズの最新
作『ロスジェネの逆襲』などは、それらがいかにも弱く、定型的な業務の描写に、どこかで見たような勧善懲
悪のプロットで、中盤くらいで、誰が悪として懲らしめられるのか、見通せるような感じで、どうにも入り込めな
いなと感じていました。

しかし、本作では、最近では弱いなと思っていた従来の池井戸作品の良さが戻ってきました。しかも、最後
まで一番悪い奴が誰かは闇の中だし、ヒーローとして立ち振る舞うのが誰かも定まらず(いや、本作にヒーロー
はいないのかも)、これまでのように、早々に「会社」内での善玉と悪玉が色分けされるようなこともなく、久し
ぶりに頁をめくる手が止まりませんでした。

読みながら、「これ、これ!」っていう感じを禁じ得ませんでした。

社会人の方には、自身の業務体験と照らして、ヒリヒリする感覚があるかとも思いますし、個々に述べられる
登場人物の背景には、世の中の広がりを示唆することで、テーマのひとつである「客を大事にしない商売は
滅びる」ということに、一層の厚みを与える効果もあると思います。

久しぶりに、(個人的に想定している)池井戸節を堪能して満足度は非常に高いです♪
従来、池井戸潤氏のファンでありながら、最近の作品に、今一満足しきれないものを感じていたという読者
(そういう方がいらっしゃったとして)には、是非ともお手に取ることをお薦めします。0

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