電子部品だけがなぜ強い の感想
参照データ
タイトル | 電子部品だけがなぜ強い |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 村田 朋博 |
販売元 | 日本経済新聞出版社 |
JANコード | 9784532317362 |
カテゴリ | ジャンル別 » ビジネス・経済 » 産業研究 » 電気・電子 |
購入者の感想
何気なく店頭で手に取った本だったが、大変面白くほぼ一日で読破してしまった。電子部品業界の考察を通じて「経営とは何か」を問う。経営学を語る本は世に溢れる程あるが、具体的な事例と地に足の着いた言葉で読み手の腹に落とす本は久し振り。
簡にして要を得た金言が多かった。「自社の業界は寡占的に、顧客は分散的に」とはポーターの業界分析フレームワークが提示するものの一部と同義だが、筆者が提案する「交渉力指数」やキーエンスの逸話はとても分かり易かった。ちなみに、「地位は規模に優先する」が個人的には本書での一番のヒット文句。
また、「価格は曖昧なもの」だからこそ「値決めこそ経営」との決め文句も、書店のマーケティング・コーナーに踊っているかもしれない。それでも、顧客が「部品」と「生産財」に見出す価値の違い(視覚的に有形か無形か)に着目し、それぞれに要求される値決め力が感性的なものなのか論理的なものなのかと考えるくだりなどは説得力あり、勉強になった。
「事業モデルの検討」では、納期や品揃えで勝負する小規模プレーヤーの事例を通じて、一方で何かを捨て他方で抜きんでることの重要性を再認識させられる。業界問わず起業を考える人にも参考になると思う。
幾多の書籍からの引用に加えて、数多くの経営者の言葉も引用されており、凝縮した学びを本書のような一冊の本を通じて得られるのは大変お得(といって、他人の言葉を書きならべている印象はない)。脚注は脚注で、参考文献の紹介といった程度のものではなく、純粋に読んで楽しい小噺の宝庫となっているのが嬉しい(中には著者のユーモラスな一面を覗かせるものも混ざっている)。
自分は電子部品業界に詳しいわけではないので、当業界の分析本としてどれ程優れているかという評価は他の方に委ねたいが、少なくとも「経営を考える」という観点からは隅々まで楽しめる内容が詰まっており、読んでいて純粋に楽しかった。
簡にして要を得た金言が多かった。「自社の業界は寡占的に、顧客は分散的に」とはポーターの業界分析フレームワークが提示するものの一部と同義だが、筆者が提案する「交渉力指数」やキーエンスの逸話はとても分かり易かった。ちなみに、「地位は規模に優先する」が個人的には本書での一番のヒット文句。
また、「価格は曖昧なもの」だからこそ「値決めこそ経営」との決め文句も、書店のマーケティング・コーナーに踊っているかもしれない。それでも、顧客が「部品」と「生産財」に見出す価値の違い(視覚的に有形か無形か)に着目し、それぞれに要求される値決め力が感性的なものなのか論理的なものなのかと考えるくだりなどは説得力あり、勉強になった。
「事業モデルの検討」では、納期や品揃えで勝負する小規模プレーヤーの事例を通じて、一方で何かを捨て他方で抜きんでることの重要性を再認識させられる。業界問わず起業を考える人にも参考になると思う。
幾多の書籍からの引用に加えて、数多くの経営者の言葉も引用されており、凝縮した学びを本書のような一冊の本を通じて得られるのは大変お得(といって、他人の言葉を書きならべている印象はない)。脚注は脚注で、参考文献の紹介といった程度のものではなく、純粋に読んで楽しい小噺の宝庫となっているのが嬉しい(中には著者のユーモラスな一面を覗かせるものも混ざっている)。
自分は電子部品業界に詳しいわけではないので、当業界の分析本としてどれ程優れているかという評価は他の方に委ねたいが、少なくとも「経営を考える」という観点からは隅々まで楽しめる内容が詰まっており、読んでいて純粋に楽しかった。