コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす の感想

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参照データ

タイトルコピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす
発売日販売日未定
製作者オーデッド シェンカー
販売元東洋経済新報社
JANコード9784492533215
カテゴリ » ジャンル別 » ビジネス・経済 » オペレーションズ

購入者の感想

イノベーションを称揚する本はたくさんあるが、本書はあえて模倣に焦点を当てている点に特徴がある。実際、多くの人や企業がイノベーションという考えに魅了され賞賛している一方で、模倣にはどこかマイナスのイメージがつきまとう。しかし、冷静にみるなら、画期的なイノベーションは成功率が低く、より多くの投資や試行錯誤を必要とし、創造者は時に自己満足に陥ることもある。だから、最初の発明者が模倣者に追い抜かれた例は枚挙にいとまがない。模倣はリスクが低く、投資も時間も抑制でき、既に市場がある程度見えており、プライドに縛られず先行商品を分析して問題点を改良する謙虚な姿勢をとりやすい。しかも、特許制度は完璧ではなく、社員の転職などで機密情報は洩れやすく、技術の進歩により模倣は年々簡単になり、コピーが出回るまでに要する期間も短くなっている。

著者の主張で特に注目したいのは、模倣とイノベーションは対立するものではないと強調している点であろう。実は模倣は創造と密接な関係があり、模倣+イノベーション=イモベーション(日本語ではあまり座りのいい表現ではないが)という説を展開している。ディズニー、VISA、IBM、ウィルマート、アップルというような優れたイノベータと思われている企業も、模倣者としての歴史を持つ。模倣は学習において欠かせない重要な過程であり、優れた模倣者は学んだ成果を根気強く新たな改良や創造につなげてイノベータとなってゆく。人類の文明も文化も、そのようなプロセスを踏んで継承され改善され発展してきたのだという。

また、表面的な模倣だけでは失敗に終わることが多いことも示されている。結局、模倣を通じて勝者になるには、オリジナルの成功要因の複雑な背景を十分に研究分析して良い部分だけを慎重に取捨選択したり、他のサービスを組み合わせたり、異なる市場や分野に応用したり、新システムを導入して大幅なコスト削減を実現したり、組織の意思決定を早くして素早く新製品を投入展開したりといった、新たな工夫の積み重ねや戦略や付加価値の追求が必要になる。優れた模倣者に必要な能力と優れた創造者の能力には共通点が多く、模倣がイノベーションの原動力になることもある。

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