儒教三千年 (朝日文芸文庫) の感想

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タイトル儒教三千年 (朝日文芸文庫)
発売日販売日未定
製作者陳 舜臣
販売元朝日新聞社
JANコード9784022640727
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

ある時は中国の発展の阻害要因としてたたかれ、またある時はアジア諸国の発展要因として賞賛される儒教。

本書は孔子より前の儒の源流を探り、論語等から孔子・孟子の名言を紹介する一方、近代に至るまでの儒教の変遷史、すなわち反体制的な面を持つ儒教が漢代に国教化して体制を支える道具となり形式化したこと、専門家を尊重しない側面が近代化を遅らせる遠因となったこと、学問を尊重するのは良いとして科挙制度の下で受験儒教となったこと、それでも儒教が内包する様々な要素が朱子学(もっとも朱子学は後に体制の支えとして硬直化するが)、陽明学といった理知的な哲学、さらには清末の民主・西洋に学べという改革思想を生んだことを知ることができます。いわば中国三千年の歴史をその中国と等身大となった儒教の切り口で概観できる優れた本です。

儒教は宗教なのか道徳なのか、儒家以外の諸子百家や仏教・道教との関係、今に伝わる儒教関係の書物は王莽の時代の創作が混じっている可能性があること、論語の名言の読み下し方(したがって解釈)も色々あること、清代のキリスト教との関係(典礼問題)、そして中華思想について、本書は解き明かしてくれます。体制と迎合した時期が長すぎましたが、現代中国を語るときにも不可欠な儒教が包含する多面的な内容を理解するのに格好の本と言えるでしょう。著者の語り口もとても丁寧です。

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