伊那谷の老子 (朝日文庫) の感想

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参照データ

タイトル伊那谷の老子 (朝日文庫)
発売日販売日未定
製作者加島 祥造
販売元朝日新聞社
JANコード9784022643315
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » か行の著者

購入者の感想

著者の加島祥造は、老子、道(タオ)に関する多数の著書を持つ、詩人・英文学者。
本書は、1995年出版の元版から、茶道美術図書を出版する淡交社の月刊誌『なごみ』に1989年に連載された「谷の四季」(原題は「風と影の時間に」)と、丸善の雑誌『學鐙』に1993年に連載された「伊那谷の『老子』」を収めたもの。
老子(道家)の思想は、「ことさらの事業を興さないこと、しいて発言しないこと、多くの物を持たぬこと。その中にこそ、安らいだ生活と社会の幸せがある」と、儒家と真逆の教えを説くもので、諸子百家の中でも異質で掴みにくい思想と思う。
著者は、老子に馴染むずっと以前に長野県の伊那谷に別宅を作って、そこで暮らした四季の生活を「谷の四季」に綴り、その後編集者の勧めで翻訳した老子と、自らの伊那谷での生活が融けあい始めて、それが「伊那谷の『老子』」となったのだというが、著者の生活のスタンスは老子を語るにまさに相応しく、その教えがすっと入ってくるような気がする。
第8章「上善如水・・・」〜「何よりもすすめたいのは 「水のようにあれ」ということだ。 水はあらゆるものに命をあたえる。 養ってくれる、そんな 大変な力をもっているのに 争わないのだ。 人のいやがる低いところにも 流れこんでゆく。そして タオにつながる人もまた、水に似て 低いところを好む。 心を求めるときは 最も深いところを喜ぶ。(中略)こうした人の生き方を貫くのは何か それは、 争わないということだ〜水のように。 だから誰の非難もこうむらない」
老子の教えを、加島氏が代って説いてくれているような本である。
(2015年6月了)

 英米文学者が「老子」のこころ、その現代性を語る。加島さんの「老子」にはじめて接する人にもってこいの文庫本。通勤やお出かけの電車の中などで読むのにも向いています。コーヒースタンドで気軽に読むのにも良い、と思います。「老子」がグッと身近になった気がするかもしれません。
 淡交社版の単行本の文庫化。文庫化にあたって少しだけ変更が加えられ、水墨画文と加島訳「老子」抄の第2章は省かれました。削られた画文の代わりにとでも云いますか、表紙カバーに同類の画文を使っています。その他、第1章の題名にも変化があって、以前の「風と影の時間に」が「谷の四季」となりました。他方で、住んでいる伊那谷の地図とたくさんの写真、それに第1章の解題を含む文庫版へのはしがきなどが新しく加わりました。その結果、さきの単行本が「加島老子の入門書」であったのに対し、「加島老子への誘い」といった感じの軽い冊子になっています。それだけにいっそう読みやすいです。

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