芥川症 の感想
参照データ
タイトル | 芥川症 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 久坂部 羊 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784103358718 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者 |
購入者の感想
本書は、阪大医学部出身で、その後も異色の経歴を積みつつ、作家としても実績を残す、著者の最新作。
とはいえ、本書を読むまで知らない作家さんでした、ごめんなさい。
芥川先生が医者の格好をした表紙が先ず目に留まり、タイトルが「芥川症」。そして、目次に並ぶ短編のタイトルも全てが芥川作品をもじったもの。この時点でパロディ好きの私には買いでした。
事実、芥川を一通り読んだ人には絶対お勧めなのです。単にタイトルをいじっただけでなく、作中の描写やテイストに個々の作品が反映されているところが、この著者の真骨頂と思えます。作品自体も、そうした著者を反映して、悪意ある諷刺に満ち満ちています。ともすれば、医師側でも患者側でも善意や善人をつくりやすいところを、実に痛烈に皮肉っているのが爽快。
そして、7つの短編はモノトーンではなく、とても多彩な作風になっています。風刺劇、ホラー、バカバカしいお笑い、ブラックコメディなどなど。読んでいて飽きません。落語を題材に使うばかりでなく、落語そのものを演って(描いて)しまうあたりは、他にも多々あるが、著者の才気を強く感じさせるところ。
では、読後感はどうかというと、実に爽やか。サクサクと約250頁読めました。平明な文章とストーリーだけど、パロディを楽しむ素養と諷刺を味わう感性を刺激される出来は大人の読み物。こういうのってなかなかありません、迷わず5☆です。(相当にブラックなセンスが本作全体の基調となっていること、芥川読んでて医療問題に相応の知識があることが本書を楽しむ前提になっていることなど、万人が楽しめるわけではないことから、☆4という評価もありとは思いますが、私にはツボなのです)
あ、内容に殆ど言及してませんが、パロディのネタや短編のオチを云うのは野暮なんで敢えて紹介してませんこと、ご容赦下さい。
(敢えて言えば、「バナナ粥」のラストの一言は鋭く・重く・あるいは面白く・実は悲しくと、受け手によって随分と印象が変わってきますが、そこまで織り込んでいるわけで、白眉だなぁと思っています)
とはいえ、本書を読むまで知らない作家さんでした、ごめんなさい。
芥川先生が医者の格好をした表紙が先ず目に留まり、タイトルが「芥川症」。そして、目次に並ぶ短編のタイトルも全てが芥川作品をもじったもの。この時点でパロディ好きの私には買いでした。
事実、芥川を一通り読んだ人には絶対お勧めなのです。単にタイトルをいじっただけでなく、作中の描写やテイストに個々の作品が反映されているところが、この著者の真骨頂と思えます。作品自体も、そうした著者を反映して、悪意ある諷刺に満ち満ちています。ともすれば、医師側でも患者側でも善意や善人をつくりやすいところを、実に痛烈に皮肉っているのが爽快。
そして、7つの短編はモノトーンではなく、とても多彩な作風になっています。風刺劇、ホラー、バカバカしいお笑い、ブラックコメディなどなど。読んでいて飽きません。落語を題材に使うばかりでなく、落語そのものを演って(描いて)しまうあたりは、他にも多々あるが、著者の才気を強く感じさせるところ。
では、読後感はどうかというと、実に爽やか。サクサクと約250頁読めました。平明な文章とストーリーだけど、パロディを楽しむ素養と諷刺を味わう感性を刺激される出来は大人の読み物。こういうのってなかなかありません、迷わず5☆です。(相当にブラックなセンスが本作全体の基調となっていること、芥川読んでて医療問題に相応の知識があることが本書を楽しむ前提になっていることなど、万人が楽しめるわけではないことから、☆4という評価もありとは思いますが、私にはツボなのです)
あ、内容に殆ど言及してませんが、パロディのネタや短編のオチを云うのは野暮なんで敢えて紹介してませんこと、ご容赦下さい。
(敢えて言えば、「バナナ粥」のラストの一言は鋭く・重く・あるいは面白く・実は悲しくと、受け手によって随分と印象が変わってきますが、そこまで織り込んでいるわけで、白眉だなぁと思っています)