サーカスナイト の感想

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参照データ

タイトルサーカスナイト
発売日販売日未定
製作者よしもと ばなな
販売元幻冬舎
JANコード9784344027114
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » や・ら・わ行の著者

購入者の感想

娘のみちると幸せに暮らしていた主人公、さやかのもとに届いた一通の手紙は
さやかを心身共に傷付けた過去を呼び覚まし運命までも引き連れて来ます。

さやかは両親を早くに亡くしたこともあって生きることに無気力で
どこか自分の命を粗末にしてしまうようなところがあったのですが
大切な人の死を背景に悲しみと喜びを同時に経験し
その中で生きることの意味を改めて見出だしていきます。

みちるの成長の喜びを彼と共有する、その先に
死が待っている現実が余りにも切なくて涙を誘います。
亡くなってしまった人の姿は二度と見ることは出来ないけれど
さやかの思い出の中で生きている彼の記憶の全てをかき集めて
永遠の命を吹き込む。そして、みちるに継がれていく。

この物語には、さやかに関わる人の死が他にも出てきます。
命ある限り、どんな形であっても必ず訪れる死。
人が生まれることに意味があるのなら人が死ぬことにも
意味があるのではないだろうか。
残された者に、こんなにも深い悲しみを刻みつけるのだから。
そんなことを思ってしまう作品でもありました。

沢山泣いて沢山傷付いたさやかだけど目に見えない不思議、
自然の力や時間に助けられたりもしたけれど
人によって傷付いた心は人によって癒されてもいく
いろんな人の思いに支えられ守られながら。

人物、心理描写が巧みで登場人物が多い割りに
さやかを中心に話が、きちんと纏まっていて読み応えもありました。

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