アルコールとうつ・自殺――「死のトライアングル」を防ぐために (岩波ブックレット) の感想
参照データ
タイトル | アルコールとうつ・自殺――「死のトライアングル」を防ぐために (岩波ブックレット) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 松本 俊彦 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784002708973 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門 |
購入者の感想
最近、危険ドラッグ使用下での交通事故が巷間を騒がせている。しかし社会は、危険ドラッグ以上に多数の交通事故を引き起こしてきた薬物のことを忘れていないだろうか?
その薬物とは、アルコールである。関係しているのは交通事故だけではない。アルコールは、暴力犯罪や虐待、DVといったさまざまな社会問題に大きくかかわっている。そして、本書がとりあげている自殺もまたそうである。忘れてはならないのは、禁酒法時代の米国では、実は大麻を解禁し、街中に「大麻スタンド」を設置したものの、多くの人びとは大麻よりもアルコールを選択したという事実である。当時の米国において人びとが、大麻スタンドなどに脇目を振ることもなく、「違法薬物」であるアルコールを求めて地域の密売酒屋に殺到したことは、意外に知られていない。実は、あらゆる精神作用物質のなかで最も社会経済的損失の総額が大きいのは、いうまでもなくアルコールなのである。
アルコール依存症は否認の病といわれるが、社会もまたその病を否認している。だが、財務省は酒税を当てにしており、酒造メーカーはあちこちに根回しをし、国民がその否認の夢から覚めないように周到に手を打っている。
本書は、自殺対策という切り口から、私たちにアルコールに寛容すぎるわが国の状況について考える機会を与えてくれるであろう。
その薬物とは、アルコールである。関係しているのは交通事故だけではない。アルコールは、暴力犯罪や虐待、DVといったさまざまな社会問題に大きくかかわっている。そして、本書がとりあげている自殺もまたそうである。忘れてはならないのは、禁酒法時代の米国では、実は大麻を解禁し、街中に「大麻スタンド」を設置したものの、多くの人びとは大麻よりもアルコールを選択したという事実である。当時の米国において人びとが、大麻スタンドなどに脇目を振ることもなく、「違法薬物」であるアルコールを求めて地域の密売酒屋に殺到したことは、意外に知られていない。実は、あらゆる精神作用物質のなかで最も社会経済的損失の総額が大きいのは、いうまでもなくアルコールなのである。
アルコール依存症は否認の病といわれるが、社会もまたその病を否認している。だが、財務省は酒税を当てにしており、酒造メーカーはあちこちに根回しをし、国民がその否認の夢から覚めないように周到に手を打っている。
本書は、自殺対策という切り口から、私たちにアルコールに寛容すぎるわが国の状況について考える機会を与えてくれるであろう。