戦場の軍法会議―日本兵はなぜ処刑されたのか の感想

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参照データ

タイトル戦場の軍法会議―日本兵はなぜ処刑されたのか
発売日販売日未定
製作者NHK取材班
販売元NHK出版
JANコード9784140816042
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

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NHKの取材班が大日本帝国陸海軍の軍法会議について3年がかりで取材した結果をまとめた本である。軍法会議の資料は極めて少なく当初から難航したが、幸いにして大阪経済法科大学客員教授の北博昭氏(東京地検が保管している二二六事件の陸軍軍法会議の判決文を初めて閲覧した人)が、馬場東作氏と沖源三郎氏という元法務官2人の証言テープや日記などの資料を保管しており、これらを手がかりに数少ない高齢の生存者や実際に軍法会議で裁かれて汚名を着せられた方の親族などにお会いして集めた情報に基づいて編纂してある。

内容は大変重い。軍法会議は軍の司法組織である。その中で、法務官は元々民間の法の専門家として極めて重要な役割を担っていた。本書に登場する2人の優秀なエリート法務官も法務を通じた正義の維持に理想を持っていたことがわかる。しかし、戦争の足音が響く中、制度の変更によって彼らも軍人となる。そして、太平洋戦争の戦局が悪化する中で、食料すら無く修羅場と化した飢餓の戦場においては、様々な運用を認めざるをえなくなる。多数の兵が食料を探し求めて隊を離れ敵前逃亡罪となり、軍法上は死刑ではない罪にも関わらず処刑される。また、そのように裁かれて有罪となった軍人・軍属は、靖国神社の名簿に載ることもなく、故郷においても肉親は周囲から白い目で見られた上に、かつては遺族年金をもらうこともできなかった。

戦後、元法務官たちが、日本の法曹界の中心を担って活躍したことにも触れている。最高裁判事8名(うち最高裁長官2名)、最高検検事(うち検事総長1名)など、多くの人々が司法の中枢にかかわっているという。

少ない記録と証人を根気強く掘り起こしてまとめた、貴重な内容を含んだ本である。

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NHK出版から発売されたNHK取材班の戦場の軍法会議―日本兵はなぜ処刑されたのか(JAN:9784140816042)の感想と評価
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