中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | 中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 高島 俊男 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061497467 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
15年前に「完全版」ではない最初の版を読んだ時、こりゃ凄い本だと感心したものですが、今回の毛沢東パート充実バージョンにも大満足です。「20世紀の盗賊」の実例から入る所なんぞ、つかみのうまさにうなってしまいます。最初っから体裁を整えた王朝なぞなく、盗賊が勢力を拡大していく過程で知識人を取り込んで儀式などを整備していくという主張は極めて説得力に富んでいます。
毛沢東についての分析は、まさにこれが言いたかったという結論の部分と思われます。私も文革当時、ハルピンで5万人殺されたなんて話を帰国者から聞いていて、大新聞が文革礼賛の記事を平気で載せているのを胸くそ悪く思っていた口ですので、ふむふむ、そうそうという調子で気持ちよく読ませて貰いました。「不完全版」出版当時では恐らくかなり刺激的な内容と取られたことでしょう。
惜しいのはその後「毛沢東の私生活」などの暴露本が出たり「毛は皇帝であった」という評価が中国でも定着するなど相当に状況が変化しており、著者の主張が革新的とは言えなくなっている点です。15年前にこの本が出ていたら、「凄い」の二乗だったでしょう。しかしそれでも毛の人となり、周恩来や江青等についての評価、林彪事件の原因についての分析などは見事ですし、中国現代史が30分足らずでわかる本になっているのも大したもんです。よくも大量の資料を読み込んだものだと思います。
そして何より歴代皇帝をばったばったとぶった切っていく痛快な語り口が極めて魅力的です。中国の歴史に関心のある人は必読の本です。「不完全版」が書棚のどこかに眠っているはずなので、探し出して読み比べてみようと思っています。
毛沢東についての分析は、まさにこれが言いたかったという結論の部分と思われます。私も文革当時、ハルピンで5万人殺されたなんて話を帰国者から聞いていて、大新聞が文革礼賛の記事を平気で載せているのを胸くそ悪く思っていた口ですので、ふむふむ、そうそうという調子で気持ちよく読ませて貰いました。「不完全版」出版当時では恐らくかなり刺激的な内容と取られたことでしょう。
惜しいのはその後「毛沢東の私生活」などの暴露本が出たり「毛は皇帝であった」という評価が中国でも定着するなど相当に状況が変化しており、著者の主張が革新的とは言えなくなっている点です。15年前にこの本が出ていたら、「凄い」の二乗だったでしょう。しかしそれでも毛の人となり、周恩来や江青等についての評価、林彪事件の原因についての分析などは見事ですし、中国現代史が30分足らずでわかる本になっているのも大したもんです。よくも大量の資料を読み込んだものだと思います。
そして何より歴代皇帝をばったばったとぶった切っていく痛快な語り口が極めて魅力的です。中国の歴史に関心のある人は必読の本です。「不完全版」が書棚のどこかに眠っているはずなので、探し出して読み比べてみようと思っています。