無罪請負人刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21) の感想

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タイトル無罪請負人刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21)
発売日販売日未定
製作者弘中 惇一郎
販売元KADOKAWA/角川書店
JANコード9784041107645
カテゴリ社会・政治 » 法律 » 司法・裁判 » 刑法・訴訟法

購入者の感想

 クロロキン、クロマイ各薬害事件など多くの薬害事件で医療被害と闘われ、また村木厚子さんの「郵便不正事件」、三浦和義さんの「ロス疑惑事件」などに関わられた弘中弁護士のご本。
 
目次

序章 刑事弁護という仕事
第一章 無罪判決まで-郵便不正事件
第二章 国策捜査の罠-小沢一郎と鈴木宗男
第三章 メディアとの攻防-薬害エイズ事件とロス疑惑事件
第四章 弁護士が権力と手を結ぶとき
第五章 刑事司法の現実

 冤罪事件や原発関連の本などを読んでいると、検察の捜査の杜撰さや、国策捜査の恐ろしさ、マスメディアのエンターテイメント至上主義が招く報道被害のむごたらしさ、それを暗黙裡に支えている日本人の弱さなどを嫌というほど思い知らされるのですが、そうした世間の大勢や権力からの圧力という逆風の中、本作の著者である弘中弁護士や反原発活動を続けておられる河合弁護士、海部弁護士、井戸弁護士など気骨ある弁護士の方々もいてくださるということに、非常に有難味を感じます。長いものに巻かれていれば楽なのに、あえてそれをせずに弱い人たちのために働かれていて本当に尊い方たちだと思います。
 わたしは第三章で扱われる「ロス疑惑事件」や「薬害エイズ事件」も世代ではないので詳しくなかったのですが、事件の概要と問題点がコンパクトにまとめられており勉強になりましたし、第四章で詳述される中坊弁護士のことは『騙されることの責任』という本で名前が出てきたので少し知ってはいましたが、今回初めて時代の中で中坊という人物が演じた役割について詳しく知ることができました。

 数々の著名な刑事事件で多数の無罪判決を獲得してきた弁護士の著書である。
 第1章から第3章までは、筆者が弁護してきた事件内容と弁護活動を紹介し、メディアの取り上げ方がいかに捜査機関・権力側に偏っているかについても、具体的に述べられている。メディアの報道がいかにスケープゴートを作り上げるものなのか、いかに一面的なものなのかを示している点でも価値があり、教えられた点もある。
 また、第5章「刑事司法の現実」は、現在の刑事司法が冤罪を生み出す構造になっている点を説明している。さほど目新しい話はないが、適切な内容である。

 そして、このように、社会的に「敵」とされた人物でもあえて弁護してきた筆者の視線で、弁護士はあくまで「在野精神」に基づいて仕事をすることに役割があると述べて、昨今の弁護士業界の変動に批判を向けているのが、第4章「弁護士が権力と手を結ぶとき」である。本書でこのような記述があるとは予想外であった。
 筆者の意見を要約すれば、中坊公平率いる「住宅金融債権回収機構」が警察と連携して債権回収に走るようになり、弁護士が権力と手を結んで仕事を確保していく構図が出来ていき、弁護士の在野精神が崩され、現在も司法改革で弁護士の数が増え、弁護士ビジネスとして警察と連携する構図が拡大しているというものである。そのような現在の弁護士業界の状態を、歴史的経過も踏まえて、かつ筆者の体験も交えて、問題点を説得的に述べている。
 弱者救済というつもりで、権力と手を結ぶことに抵抗感がなくなった弁護士への批判的視点と危険性を述べる筆者の主張は正当な指摘を含んでいると思う。しかし、やや一面的という印象を受ける部分もある。たとえば、筆者がいうような、武富士元会長の武井保雄が弱者であるというのは同意しがたい。筆者は「国家権力やメディアと比べれば」という留保を付してはいるが、そういう対比で論じるなら、取り立てに苦しめられた多数の人たちは、より絶対的な弱者といわざるを得ないのではないか。武富士が起こした名誉毀損訴訟は、到底認められる見込みのない請求額といい、いわゆるスラップ(SLAPP)訴訟というべきものであった。損害賠償請求をした相手方である「週刊 金曜日」とそのライターは、お世辞にも権力のあるメディアとはいえないのではないか(「週刊

過去にメディアで大きく取り上げられてきたいくつかの事件について、弁護人の立場から詳しく説明されています。
その内容は、何もしていない自分が突然逮捕されて、取り調べられて、起訴されてもおかしくないことを実感させられます。
さらに、万一そのようになった場合の対処法まで書いてあるので、家族や周りの人にも是非勧めたくなり、はじめてこのレビューを書きました。0

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