日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫) の感想
参照データ
タイトル | 日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫) |
発売日 | 2013-10-03 |
製作者 | 竹村 公太郎 |
販売元 | PHP研究所 |
JANコード | 9784569760841 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
作者が理系の建設省(国交省)出身者で「「地形」で解ける」と謳っているし、「養老孟司氏推薦 データで裏付け云々」と帯にあるものだから、地図やデータできちんと裏付けられた新手の「逆説史」かと思い買いましたが、トンデモ内容の多い本でした。
細かいことも含めていくつか例示すれば(他の人が書かれていることと重複しますが)下記の通りです。
・関ヶ原後なのに、長宗我部氏が四国の有力大名になっている
・大津市付近を通る高速道路に名阪高速道路→実際は名神高速道路
・信長が比叡山を焼き討ちしたのは、地形を原因とするよりも、単純に比叡山と対立していたからでは?
・中国地方に平野部が少ない、あるいは毛利氏の本拠、吉田郡山城が山間部にあるからといって、毛利氏は狩猟民といえる?
などなど
また、「逢坂山トンネルを抜けると、誰かに引きずり出されるように電車から降りて」比叡山焼き討ちの真相をつかんだり、ぶらぶら歩いていて半蔵門を眺めながら「既視感」に包まれてみたり、演出上とこととはいいながら、各論を「発見する」きっかけがウソくさいのも鼻につきます。
「大阪に緑が少ない」理由だけは納得しましたが、別に画期的な説でもなく、星ひとつです。
細かいことも含めていくつか例示すれば(他の人が書かれていることと重複しますが)下記の通りです。
・関ヶ原後なのに、長宗我部氏が四国の有力大名になっている
・大津市付近を通る高速道路に名阪高速道路→実際は名神高速道路
・信長が比叡山を焼き討ちしたのは、地形を原因とするよりも、単純に比叡山と対立していたからでは?
・中国地方に平野部が少ない、あるいは毛利氏の本拠、吉田郡山城が山間部にあるからといって、毛利氏は狩猟民といえる?
などなど
また、「逢坂山トンネルを抜けると、誰かに引きずり出されるように電車から降りて」比叡山焼き討ちの真相をつかんだり、ぶらぶら歩いていて半蔵門を眺めながら「既視感」に包まれてみたり、演出上とこととはいいながら、各論を「発見する」きっかけがウソくさいのも鼻につきます。
「大阪に緑が少ない」理由だけは納得しましたが、別に画期的な説でもなく、星ひとつです。
おおまかな印象としては、しばしば業界誌の最後のあたりで連載されている、隠居した大御所が書くエッセイのようなノリの本である。
元河川事業の専門家だけあって、荒川の堤防維持と吉原の移転が関連していたとか、奈良が近代化に立ち遅れたのは治水インフラが整っていなかったからではないかといったような、治水にかかわる問題の推論にはなるほどと感じた。
しかし、「江戸城の表門は半蔵門である。その証拠に古地図では『御城』の文字が甲州街道に向かって正立している」説は、ちょっと検索したら他の向きに「御城」と書かれた古地図もあるし、また家の見取り図を書く時に表玄関を上にして書くことは特に不自然とは思えないので、かなり疑問のある説である。
また、四十七士が泉岳寺に葬られた理由や浮世絵の解釈などは、「そういわれればそうかもしれないですね」程度で、特に強力な裏付けがあるような話ではない。
それ以外の事柄については、歴史や地理関連の雑学本を読むことを趣味としている私には、以前から知っているようなことばかりであり、物足りなく感じた。
それにしても、帯の煽り文「荒俣宏氏、絶賛!」はどうなのかな?博識の荒俣宏氏がこの程度の知識で絶賛するとは思えないのだが。まあお付き合いとか義理とかいろいろとあるのでしょう。
元河川事業の専門家だけあって、荒川の堤防維持と吉原の移転が関連していたとか、奈良が近代化に立ち遅れたのは治水インフラが整っていなかったからではないかといったような、治水にかかわる問題の推論にはなるほどと感じた。
しかし、「江戸城の表門は半蔵門である。その証拠に古地図では『御城』の文字が甲州街道に向かって正立している」説は、ちょっと検索したら他の向きに「御城」と書かれた古地図もあるし、また家の見取り図を書く時に表玄関を上にして書くことは特に不自然とは思えないので、かなり疑問のある説である。
また、四十七士が泉岳寺に葬られた理由や浮世絵の解釈などは、「そういわれればそうかもしれないですね」程度で、特に強力な裏付けがあるような話ではない。
それ以外の事柄については、歴史や地理関連の雑学本を読むことを趣味としている私には、以前から知っているようなことばかりであり、物足りなく感じた。
それにしても、帯の煽り文「荒俣宏氏、絶賛!」はどうなのかな?博識の荒俣宏氏がこの程度の知識で絶賛するとは思えないのだが。まあお付き合いとか義理とかいろいろとあるのでしょう。
こういった学問分野はまだないと思いますが、地形歴史学とでも呼べるような本です。
もともと、建設省でダム・河川工事を専門にやってきた方ですので、いわゆる文献資料を丹念に当たって事実検証を重ねていくような歴史学とはまったく異なるアプローチ?です。これまであまり言われてこなかったようなユニークな視点の話が豊富にある一方、十分な検証がなされていないような話もあるように思いました。玉石混交といった感じでしょうか。
細かい突っ込みどころは満載ですのでそれは置いておいて、面白そうなところを拾い読みして、新鮮なアイデアを楽しむだけでもいいかと思います。0
もともと、建設省でダム・河川工事を専門にやってきた方ですので、いわゆる文献資料を丹念に当たって事実検証を重ねていくような歴史学とはまったく異なるアプローチ?です。これまであまり言われてこなかったようなユニークな視点の話が豊富にある一方、十分な検証がなされていないような話もあるように思いました。玉石混交といった感じでしょうか。
細かい突っ込みどころは満載ですのでそれは置いておいて、面白そうなところを拾い読みして、新鮮なアイデアを楽しむだけでもいいかと思います。0