算術演算のVLSIアルゴリズム (並列処理シリーズ) の感想

基礎的な理論から、LSIの算術演算アルゴリズムの基礎を学べます。
内容は、加算回路、乗算回路、除算回路等、基礎的な内容から、三角関数等まで網羅しています。
購読の対象者は、情報工学専攻の大学生、もしくは、それと同等の知識を持ち合わせている人になります。
この本に理論は書かれているのですが、Verilog-HDLやVHDLでの実装例が書かれておらず、内容も教科書のような書き方で、情報工学の基礎を理解できていない人は消化しきれないと思います。
そういう意味で、この本は、読む人を選ぶ本です。

企業の実務者で、理論を飛ばして、回路設計を行いたい人には向いていません。
そのような考えの人は、この本の内容を全く理解できないと思います。

情報科学系の大学院の講義で使用しました。輪講で、各人が担当してパワーポイントで説明し、担当者はそこの部分をシミュレーションするソフトウェアを作ったり、Verilog HDLで記述してFPGAに実現したりしました。最初の方は、割と学生も楽だったのですが、後ろのほうは結構、理解に苦しんだところもあるようです。ただ、全員が乗り切って、皆勉強になったとの感想でした。

筆者は、昔から算術論理回路のハードウェアアルゴリズムの研究者であり、内容がすばらしい。欲を言えば、もう少し本のページ数を増やしてくれれば、学部生にも勧めやすいのですが、筆者がWeb上などでサポートページを開いてくれたらうれしいなーなんて思ってしまいます。