青が散る〈上〉 (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル青が散る〈上〉 (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者宮本 輝
販売元文藝春秋
JANコード9784167348229
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

このところスポーツ小説が賑やかだ。それらの愛読者のかたがたがこの小説を読んだらいいのになあと思っていたところ、新装版登場! ぜひおすすめしたい。初版刊行は1982年(文庫は85年)。舞台は大学で競技はテニス。数字を見ればずっと昔の本に感じると思うが、色褪せない名作と太鼓判を押す。

近頃話題のスポーツ小説に共通の傾向として気がつくのは、主人公たちが「ひたすらに」競技に打ち込む様が描かれる点。それがすがすがしい魅力を醸しているのは確かだ。対して本書は、舞台が大学ということもあってか、青春期のありとあらゆることが詰まっている。テニスも丹念に書き込まれつつ、恋、友情、初めて正面から向き合う生老病死・・・と盛りだくさん。それらが渾然一体となって、何とも言えない強く深みのある印象を残すのだ。テニスも学生生活も等分に扱われた青春小説と言った方が適切なのだろう。

また本書においては、「光」と「影」も同じ比率で描かれる。主人公・燎平を初め、多彩な登場人物たちの放つ光が鮮やかでまぶしい分だけ、影もまた色濃い。ままならぬ恋、錯綜する想い、焦燥、迷い、過ち、挫折、悲しい宿命・・・どれも痛ましく胸を刺す。しかしその影すらかけがえのないものに思える。おそらくこの時期にしか存在し得ない、極めて強い光と濃い影だから・・・それらを実に鮮明に情緒豊かに写しとっている。

とは言え今の若い皆さんは、燎平をじれったく感じるかなとも思う。他人がみな大きく見え、自分は到底かなわないという思いに苦しむ様こそ、まさに青春期の姿!とわたしなどには思えるのだが。大切な人に対して一歩を踏み出せない恋にも、胸が締めつけられてしまう。皆さんはどうだろう。とにかく読んでみていただきたい。

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文藝春秋から発売された宮本 輝の青が散る〈上〉 (文春文庫)(JAN:9784167348229)の感想と評価
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