秘密の武器 (岩波文庫) の感想
参照データ
タイトル | 秘密の武器 (岩波文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | コルタサル |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784003279038 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » スペイン文学 |
購入者の感想
日本編集の「悪魔の涎・追い求める男」の後で読むと、同じ文庫から出た作品集にこんなに重複が多いのか、と不満もあるのですが。それにしても、やっぱりコルタサルは面白い、と思わせてくれる短編集でした。
重複しなかったものは、たぶんこの作家の作品の中でも幻想的要素が少なく、日常のリアルな描写といってもよいような作品たち--なのに、なぜか少しずつ日常から逸脱してしまうまるで小さな水滴がたまって澱みをつくっていくように、本当に少しずつ。その少しずつの変化の表現が非常に見事です。むろん個人的な趣味もありますが、現代的な感覚からすると、むしろ傑作と称されてきた作品より、この小さな逸脱の手際の良さのほうが評価されていいのではないかと思われます。
重複があったとしても、文庫でこうした作品集を復刊してくれるのはうれしいです。しばらくはまってもよい作家だな、と思います。
重複しなかったものは、たぶんこの作家の作品の中でも幻想的要素が少なく、日常のリアルな描写といってもよいような作品たち--なのに、なぜか少しずつ日常から逸脱してしまうまるで小さな水滴がたまって澱みをつくっていくように、本当に少しずつ。その少しずつの変化の表現が非常に見事です。むろん個人的な趣味もありますが、現代的な感覚からすると、むしろ傑作と称されてきた作品より、この小さな逸脱の手際の良さのほうが評価されていいのではないかと思われます。
重複があったとしても、文庫でこうした作品集を復刊してくれるのはうれしいです。しばらくはまってもよい作家だな、と思います。