十六の話 (中公文庫) の感想

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タイトル十六の話 (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者司馬 遼太郎
販売元中央公論社
JANコード9784122027756
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日本のエッセー・随筆 » 近現代の作品

購入者の感想

本書には
司馬遼太郎(本名・福田定一)(1923-1996)による
16篇のストーリーが収められています。

『ライ麦畑でつかまえて』で有名な
J.D.サリンジャー(1919-2010)に
『ナイン・ストーリーズ』という作品があります。
サリンジャーのは小説ですが
司馬による本書は評論集です。
もともとは講演であったり
シンポジウムの基調報告であったりするものもあります。

今回、私は以前読んだ
『開高健への弔辞』を読み返したくなり
Amazonにて本書を購入しました。
鋭い分析に感服
天才が天才に贈った弔辞に感動を覚えました。

司馬遼太郎と開高健(1930-1989)には
あまり共通点はありません
(少しあります。同じ大阪出身、など)。
生前、親交が深かったわけでもありません。
開高が亡くなったとき
その妻・牧羊子(1923-2000)の「強い希望」で
司馬による弔辞が実現しました。
経緯はともかくそのおかげで私たち
司馬文学・開高文学の愛好者は
この貴重な弔辞を本書で読むことができます。

みなさんには釈迦に説法となり恐縮ですが
司馬は直木賞を受賞。
産経新聞記者から
作家活動にはいり
歴史小説をメインに(本書のような)評論も書き
国民的作家となり
文化勲章を受章しました。
一方
開高は芥川賞を受賞。
サントリー社員(コピーライター)から
作家活動にはいり
純文学を中心にエッセイも書き
(遠藤周作や安部公房とならんで)
ノーベル文学賞の候補だったと言われています
(フィンランド文部大臣賞受賞)。

司馬遼太郎は
それまでの歴史小説・時代小説とは明確に一線を画しました。
トラック一台ぶんの資料を読み込み
登場人物それぞれに明確なキャラクターを与え

司馬遼太郎さんというと、私の中では、歴史を書く人という認識があった。

私は、井筒俊彦さんを日本の偉人であり、哲学者だと思っていて、その関連からこの本へと巡り会えた。

あとがきで司馬さんご本人が記されているが、『ある日、中央公論社の山形真功氏がやってきて、かような本はいかがでしょう、と生来の慇懃さで言ったのが、この本のはじまり』とのこと。
その山形氏に、「題名はいかが致しましょう」と尋ねられた著者が記すには、
『ふつうは、文中の題から一つをとって本の題にするのだが、この本の各章の題をみると、どれもその章の主題に意固地なほど即しすぎており、本を代表する題としては不適(ふむ)きである。いっそ、「十六の話」ということにした。素朴であかるくて、われながら気に入っているのである。』とあった。
私も司馬さんがつけたこの題名に、共感している。

私が、この十六の話の中でまず読んだのが、アラベスクと、附録の「二十世紀末の闇と光」という、司馬さんと井筒さんの対談だった。何というのか、その文章から何だかよい雰囲気を感じた。お二人は言語というものを通して、どこかつながり合っているようにも思えた。
他の話も興味深く、学べることの多いものだった。

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