中村元選集〈第3巻〉/東洋人の思惟方法〈3〉日本人の思惟方法 の感想
参照データ
タイトル | 中村元選集〈第3巻〉/東洋人の思惟方法〈3〉日本人の思惟方法 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 中村 元 |
販売元 | 春秋社 |
JANコード | 9784393312032 |
カテゴリ | 人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門 |
購入者の感想
生憎、筆者は海外の文献を含む、すべての日本思想関係の著作に目を通したわけではないので確定的な事は言えませんが、少なくとも日本語で書かれた包括的な日本人論、特に言語的・文献学的視点から考察した日本人論として、これ以上に優れた著作はちょっと思いつかないほどです。勿論、「包括的」という形容詞が付く以上、ある特定の分野に絞った上でならより深い考察を払った著作はありますし、また、もっと別の視点からの包括的な著作(例えば、オーギュスタン・ベルクの『空間の日本文化』は、言語的側面のみならず、地理的要素や建築といった非常に多角的な視点から日本文化を考察した傑作です)も存在しますが、巷に溢れているナルシシズムと紙一重の商業的な「日本人論」を読むよりも、これ一冊を何度も読み込んだ方が余程勉強になります。というより、専門に研究するのでもない限り、これ一冊を理解すれば十分と言えるほどです。
以下内容については、日本人の思惟方法の特徴(「思惟方法」という用語の厳密な定義に関しては、別冊の『インド人の思惟方法』、p.10参照)として、
’a 現象即実在論
’b 外来思想の恣意的(独創的?)解釈
’c 尚古性
’d 特定の具体的な集団・組織、或いは経典への絶対的帰順の重視
’e 関係性の重視
’g 単純化(象徴化)嗜好
以下内容については、日本人の思惟方法の特徴(「思惟方法」という用語の厳密な定義に関しては、別冊の『インド人の思惟方法』、p.10参照)として、
’a 現象即実在論
’b 外来思想の恣意的(独創的?)解釈
’c 尚古性
’d 特定の具体的な集団・組織、或いは経典への絶対的帰順の重視
’e 関係性の重視
’g 単純化(象徴化)嗜好
本シリーズの素晴らしさについては、第一巻の書評に書きましたのでご参照いただけると幸いです。
本書は第三巻で、日本人の思惟方法を考察する。
大変面白い日本人の性質が言葉から考察され、いちいち納得できる。
本書は特に、太平洋戦争になぜ日本が入って行ったかが意識されていることがわかる。
意外であったが、同時にそうかもしれないと思ったのは次の言葉である。
「日本人は個人主義を嫌ったにもかかわらず、この点(本書をお読みください)では、個人主義的活動の余地を残したことになる。他方、西洋人は個人主義という語を好むにかかわらず、すべてをこと細かに規定するために個人主義の実現が妨げられている面がある。」
本書から我々自身の危うさや強みを感じておくことは重要だと思われる。
本書は第三巻で、日本人の思惟方法を考察する。
大変面白い日本人の性質が言葉から考察され、いちいち納得できる。
本書は特に、太平洋戦争になぜ日本が入って行ったかが意識されていることがわかる。
意外であったが、同時にそうかもしれないと思ったのは次の言葉である。
「日本人は個人主義を嫌ったにもかかわらず、この点(本書をお読みください)では、個人主義的活動の余地を残したことになる。他方、西洋人は個人主義という語を好むにかかわらず、すべてをこと細かに規定するために個人主義の実現が妨げられている面がある。」
本書から我々自身の危うさや強みを感じておくことは重要だと思われる。