ゲーデルの哲学 (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | ゲーデルの哲学 (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 高橋 昌一郎 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061494664 |
カテゴリ | 人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門 |
購入者の感想
帯に「これで不完全性定理がわかる!」とあるが不可能と断言できる。理由は本書に不完全性定理の決定的な誤解と自然科学や数学の誤解があるからである。
不完全性定理の誤解
(1)完全性定理と不完全性定理に現れる完全性の意味を混同している
(2)不完全性定理がいかなる数学システムにも適用可能としている
自然科学や数学の誤解
(3)Modus tollensの証明がぎこちない
(4)相対論の適用範囲の説明が不適切
(5)「すべての花は美しい」を命題としている
(6)集合の「交わる」の使い方が不適切
(7)神の存在証明の説明が引用した論理式と異なる
(1)完全性定理と不完全性定理に現れる完全性の意味を混同している
完全性定理を述べた後に「数学においては、そのような完全性が成立しない」として不完全性定理に話題が移る。しかし完全性定理と不完全性定理では完全性の意味が異なる。たとえば不完全性定理と完全性定理の両方が成立する系がある。つまり不完全性定理の意味で完全でなくとも完全性定理の意味で完全であり得る。
(2)不完全性定理がいかなる数学システムにも適用可能としている
本書の「いかなる数学システムにおいても」(p.62)は間違いである。たとえば自然数と加法だけからなる系に不完全性定理は適用できない。ユークリッド幾何にも適用できない。どんな定理であれ証明に用いられた仮定が成り立たなければ成立しない。その文言に続く「すべての真理を証明することは不可能である」は不完全性定理ではない。完全性定理の否定である。
(3)Modus tollensの証明がぎこちない
不完全性定理の誤解
(1)完全性定理と不完全性定理に現れる完全性の意味を混同している
(2)不完全性定理がいかなる数学システムにも適用可能としている
自然科学や数学の誤解
(3)Modus tollensの証明がぎこちない
(4)相対論の適用範囲の説明が不適切
(5)「すべての花は美しい」を命題としている
(6)集合の「交わる」の使い方が不適切
(7)神の存在証明の説明が引用した論理式と異なる
(1)完全性定理と不完全性定理に現れる完全性の意味を混同している
完全性定理を述べた後に「数学においては、そのような完全性が成立しない」として不完全性定理に話題が移る。しかし完全性定理と不完全性定理では完全性の意味が異なる。たとえば不完全性定理と完全性定理の両方が成立する系がある。つまり不完全性定理の意味で完全でなくとも完全性定理の意味で完全であり得る。
(2)不完全性定理がいかなる数学システムにも適用可能としている
本書の「いかなる数学システムにおいても」(p.62)は間違いである。たとえば自然数と加法だけからなる系に不完全性定理は適用できない。ユークリッド幾何にも適用できない。どんな定理であれ証明に用いられた仮定が成り立たなければ成立しない。その文言に続く「すべての真理を証明することは不可能である」は不完全性定理ではない。完全性定理の否定である。
(3)Modus tollensの証明がぎこちない
1章では、論理記号を用いず「ゲーデルの不完全性定理」のイメージを
「パズル」を通して理解できるように構成してある。
この「パズル」が、かなり面白いのである。
自分では、「パズル」の解答を完全に理解しているつもりでも、
解答を口に出して、論理的に説明するのは
思いのほか難しかった。
友人と一緒に問題を解くのが望ましいかも。
2章~3章は、ゲーデルの人生の軌跡と業績を丁寧に説明してある。
4章は、晩年のゲーデルがなぜ「神の存在論」に行き着いたかの考察がしてある。
最終章、5章では不完全性定理以降の進展が、
理性の限界とどのように関連しているのか説明してある。
参考文献もきちんと整理されて載せてある。
ただ、素人の立場から言わせてもらうと、参考図書の紹介もして欲しかった。
例え、学会で評価されないとしても、
多くの「学者」が一般向けに良書(この本程度の学術水準)を出版されることを望む。0
「パズル」を通して理解できるように構成してある。
この「パズル」が、かなり面白いのである。
自分では、「パズル」の解答を完全に理解しているつもりでも、
解答を口に出して、論理的に説明するのは
思いのほか難しかった。
友人と一緒に問題を解くのが望ましいかも。
2章~3章は、ゲーデルの人生の軌跡と業績を丁寧に説明してある。
4章は、晩年のゲーデルがなぜ「神の存在論」に行き着いたかの考察がしてある。
最終章、5章では不完全性定理以降の進展が、
理性の限界とどのように関連しているのか説明してある。
参考文献もきちんと整理されて載せてある。
ただ、素人の立場から言わせてもらうと、参考図書の紹介もして欲しかった。
例え、学会で評価されないとしても、
多くの「学者」が一般向けに良書(この本程度の学術水準)を出版されることを望む。0