42 ~世界を変えた男~ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) の感想

大リーグ初の黒人選手ジャッキー・ロビンソン。彼の背番号42番が全球団で永久欠番とは聞いたことがありました。けれど彼の生きた、勝負した世界の凄まじさと、彼の気高い不屈の人間性、差別を乗り越えての生き様を、この映画で知り震えるような感動を覚えました。この作品は彼と、彼の周りでそれぞれの立場で理不尽さと「戦った」、勇気ある人々の物語です。

ジャッキーの入ったのは完全なる「アウェイ」の世界。あまりにも極端な偏見、差別、侮蔑、ときに暴力。耐え続けるジャッキーの気高さと勇気に感銘を受けました。

その彼を深い人間味で支え続けたGMリッキー。大御所ハリソン・フォードがさすがという他ない、渋い見事な演技です。ジャッキーは幼少時実父に捨てられたそうで、リッキーが肌の色や立場を越えて、力強く正義感の強い、米国の古き良き父親のようにもみえました。

選手では後年大リーグ殿堂入りしたという遊撃手リース。生命を脅かされる脅迫状が届いたあと、観衆の罵声の中で彼のとった行動とは。ネタバレになるので記しませんが胸に迫る名場面です。観ていて「人間性」ということばが心の中を駆け巡りました。

もうひとり、初の黒人野球記者ウェンデル。記者席に入れない差別のなかで、ジャッキーとともに理不尽なすべてと「自分も戦っている」と語る場面が、自分の胸にもぐさりと突き刺さりました。

ジャッキーの忍耐、勇気と、野球を愛し真摯に全力でプレイする姿は、やがて人々の良心に訴え、称賛の声が全米に響き渡っていくのです。「4月15日」ジャッキーがメジャーデビューした日、今でもMLB全選手が背番号42をつけると知りました。ジャッキーひとりに対する賞賛ではないとおもいます。人種以外にも、性別、出身地、いろいろあるとおもいます。自分個人は学歴でこの人生でいろいろな思いをさせていただいてきました。差別を受けても、耐えて、戦い続けたすべての人へのエールのように感じ、美しいラストシーンとともに、感動してしまいました。みるものに勇気を与えてくれる素晴らしい作品。ぜひ多くのかたにご鑑賞いただきたいと願います。星5つです。0