性犯罪被害とたたかうということ の感想

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タイトル性犯罪被害とたたかうということ
発売日販売日未定
製作者小林美佳
販売元朝日新聞出版
JANコード9784022507754
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

あるきっかけで,性犯罪被害に遭ったことを実名で公表されている方がいると知り,
前作「性犯罪被害にあうということ」を読み,続けてこの本を読みました。
前作は,被害に遭った直後頃に,その時々の思いを携帯に打ち込んではPCに飛ばして綴っていたものだそうで,
生々しく心に突き刺さるものではありましたが,反面,少しとりとめがないというか,敢えてきれいにまとめないで出版した,という感じでした。

今回は,それから2年経っており,被害者の気持ちが整理されて書かれています。
本を出したことをきっかけに知り合った他の性犯罪被害者の方々との交流も綴られ,
筆者がそれまでとは違った人生を歩き始めたことを感じます。
また,被害直後,辛い思いをひたすらぶつけていた相手(元彼)との対談や,
前作では決裂したかと見えていた両親との温かい再交流も書かれていて
被害者の周囲の人物もまた辛い思いを抱えていたということが,筆者自身の理解を通じて,読む方にも伝わりました。
性犯罪被害に遭ったという重い事実は,忘れたり,乗り越えたりすることはできないのかもしれないけれど,
逆に「被害に遭った自分」を直視して生きていく,という姿に,感動し,尊敬しました。

ただ,筆者の方の「たたかう」という意味は,性犯罪を起こす人,起こした人と戦うという意味ではなく,
あくまで,被害に遭った現実と戦うこと,性犯罪被害者に対する社会の偏見の目と戦うことです。
被害に遭われた方々にとっては,その「たたかう」は最重要課題ですので,それでよいと思います。
よいとは思うのですが,やはり,将来にわたって性犯罪被害者をなくすためには,
加害者を重く処罰することも必要ですし,加害者が再び犯罪に走らないようにするためにはどうするかを考えることも
必要だと思います。
私が思うのは,被害者自身に,そういう視点も持て,と無理に求めることではなく,
社会全体が,そういう意識をもっと持っていかなければならないということです。
自分は,犯罪被害者の方々と関わりを持つ仕事をしていますが,

前著と続けて読みました。
自らの体験が中心となっていた前著もそうですが、さらに、被害者の一助になるのではないか?という印象を受けました。
誰にも言えない、言ったとしても救いがない、という場合に、
他の人の声を知ることは、少しでも「一人ではない」と思えて救いになるものではないかと…。
また、精神的に疲れていて文章を理解するのが辛い時でも、字は少し大きめで行間も広く、読みやすいです。

内容は
・裁判員制度による 被害内容やプライバシ漏洩への恐怖、裁判の様子
・著者の所に届いた3000通のメールによる”被害の現実”データ
・他の被害者の声
・マスコミとのかかわり
・加害者への考え
などが描かれています。
マスコミ関係者Iさんの「信じることは間違いなのでしょうか」という言葉が印象的です。

性犯罪による心のダメージについて”裏切られたこと”と何度か書かれています。
性暴力(性犯罪)とは、「自分には関係ない」「身の回りで起こる筈がない」「治安の悪い地域の」話ではなく、
誰もが持っている「心身」を、突然または繰り返し、めちゃくちゃに踏み荒らされる行為なのだろうと思います。
男女に関わらず、相手に暴力的なまでの性を押し付けるのは、
「それによって相手がどうなってしまうか」という想像力が無いのかもしれません。
性暴力の実際がもっと知られ、被害者への偏見が無くなってほしいと願います。色んな人に読んでほしい本です。

前著で家族や恋人とのやりとりが描かれていましたが、この本では
お互いの気持ちの行き違いに気づいたり、人の優しさに触れる描写が多く
こんな言い方をするのはおかしいですが、何だか、人間として自分もほっとした部分がありました。

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