ツリーハウス (文春文庫) の感想
参照データ
タイトル | ツリーハウス (文春文庫) |
発売日 | 2013-04-10 |
製作者 | 角田 光代 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784167672096 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者 |
購入者の感想
本作は、翡翠飯店に住む三世代の家族の年代記です。
物語は、祖父の死をきっかけにして孫の良嗣が祖母と叔父とで中国を巡るパートと、戦時中の祖母が祖父と出会い、平成の現在へと至るまでを描いたパートが交互に進行していきます。
良嗣にとって謎の多かった家族の背景が徐々に明らかになるとともに、現在の家族の言動や態度の理由が分かってくる過程は、展開が巧みでミステリーの要素もあり、一気に読み終わりました。
本作に没入できた最大の理由は、戦後復興から2010年までの日本の史実を織り交ぜているからではなく、家族の人間描写が生き生きとしていて言葉や存在そのものに説得力があるからだと思います。作者の硬質な筆致も洗練されていて、最後まで、あざとさが無く好感が持てました。
昭和・平成史に残る数々の出来事が背景にあっても、 描かれているのは、あくまで、一般庶民の日常です。ですが、その日常の大切さがこの作品からは伝わって来ます。
年代・性別を問わない普遍的なメッセージ性を含んだ傑作であり、日本が苦境にある今こそ、お勧めしたい一冊です。
物語は、祖父の死をきっかけにして孫の良嗣が祖母と叔父とで中国を巡るパートと、戦時中の祖母が祖父と出会い、平成の現在へと至るまでを描いたパートが交互に進行していきます。
良嗣にとって謎の多かった家族の背景が徐々に明らかになるとともに、現在の家族の言動や態度の理由が分かってくる過程は、展開が巧みでミステリーの要素もあり、一気に読み終わりました。
本作に没入できた最大の理由は、戦後復興から2010年までの日本の史実を織り交ぜているからではなく、家族の人間描写が生き生きとしていて言葉や存在そのものに説得力があるからだと思います。作者の硬質な筆致も洗練されていて、最後まで、あざとさが無く好感が持てました。
昭和・平成史に残る数々の出来事が背景にあっても、 描かれているのは、あくまで、一般庶民の日常です。ですが、その日常の大切さがこの作品からは伝わって来ます。
年代・性別を問わない普遍的なメッセージ性を含んだ傑作であり、日本が苦境にある今こそ、お勧めしたい一冊です。