はじめての宗教論 右巻~見えない世界の逆襲 (生活人新書) (生活人新書 308) の感想

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参照データ

タイトルはじめての宗教論 右巻~見えない世界の逆襲 (生活人新書) (生活人新書 308)
発売日販売日未定
製作者佐藤 優
販売元日本放送出版協会
JANコード9784140883082
カテゴリ » ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想

購入者の感想

著者の『神学部とは何か』を読み、教派は違っても(私はカトリックです)、
神学の有意義性を語ってくれる佐藤氏を頼もしく思っていましたが、
この本には間違いが多く、ファンの人にはすまなく思いますが、基本的な問題なので、
以下、数箇所ですが、指摘させていただきます。

★共同訳と新共同訳
「この翻訳〔共同訳〕は二年ぐらいでお蔵入りになってしまいました。どうしてかというと、
翻訳が学術的に正確すぎたからです。」(71頁)

これは著者の誤解です。
共同訳は「動的等価」という翻訳理論で訳されました。この理論は、翻訳が原文から離れる
ことがあっても、同じ内容を表わす分かりやすい言葉に置き換えようとするものです。
例を挙げれば、マタイ5・3「ホイ・プトーコイ・トー・プネウマティ」は、文字通り訳すと
「霊において貧しい者たち」になるわけですが、この共同訳では、「ただ神により頼む人々」と、
誰にでも理解可能なかたちに意訳されました(新共同訳、口語訳=「心の貧しい人々」)。
それは、この共同訳が教会外の、一般の読者層を意識して作られたものだったからです。

そのため、教会内では、意訳しすぎとの声が上がり、受け入れられませんでした。
さらに、固有名詞を原語読みにしたことが、意訳した柔らかい本文とフィットせず、
支持されませんでした。そこで、通常の翻訳方法で教会用に訳し直したものが
「新共同訳」だったのです。

どういう理由から「学術的に正確すぎた」と評価するのか書かれていませんし、
それほど優れた翻訳なら、お蔵入りになるはずなどないでしょう。
「動的等価」の理論でなされた翻訳は、アメリカではおかしな翻訳を
量産してしまったため、いまでは反省の声が上がっています。

共同訳は、講談社学術文庫に入っているので、興味のある方は参照してみてください
(カトリックの聖書学者が監修しています)。
どうして多くの専門家がこの「学術的に正確すぎる」翻訳を使っていないのでしょうか?

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