法学入門 (有斐閣双書) の感想
参照データ
タイトル | 法学入門 (有斐閣双書) |
発売日 | 販売日未定 |
販売元 | 有斐閣 |
JANコード | 9784641112766 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 法律 » 法学 |
購入者の感想
末川博士は当時、我妻榮博士に対抗しうる西の民法学の権威でした。まだ出版されているのか、わかりませんが、先生の書かれた民法のテキスト(千倉書房)はとてもわかりやすかった。この法学入門の一つの特徴は、文学作品からの引用(各章の冒頭にある)から法学の本質をわかりやすく解く点にあります。特に高校2年生・3年生から法学部1年生あたりにはお勧めです。法学部に入るとラートブルフや法哲学本をいわばアクセサリーとして持っている人に出くわしますが(今はこんな人いないでしょうが)、そういう人に限って自然法と実定法の違いを教えてくれというと逃げ出したりします。この本を題材に「法とは何か」をじっくり考えていただきたいと思います。各法分野の先生の分担執筆としたのも、わが国における法学概論テキストの先駆けをなすものといわれています。法学概論はひとりの先生が全法分野に対しての理解を示すものですから、その学者先生の人格や価値観が全て反映されてしまいます。どうしても、単独執筆の法学入門・法学概論はいい面でも悪い面でも執筆者の個性に引きずられます。法学教育初期段階では視野狭窄になりがちで、これはまずい。その意味で末川「法学入門」がいまだに読みつがれているのは、至極あたりまえのことなのです。