花の回廊―流転の海〈第5部〉 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル花の回廊―流転の海〈第5部〉 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者宮本 輝
販売元新潮社
JANコード9784101307541
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

宮本輝の自伝的小説「流転の海」第5編。第4編「天の夜曲」は富山だった。
熊吾もだいぶ丸くなったと思ったら、また新しい事業を始め、失敗の予兆を残しつつ終わった。
案の定翌年の昭和32年、再び松坂熊吾一家は一文無しとなる。
10歳の伸仁(宮本輝)は尼崎のアパートに移る。周囲は貧しい朝鮮人が多かった。伸仁は戸惑い、ここでもさまざまなことを学んでいく。

実は実生活では、この頃かそのあとぐらいに、伸仁の母は創価学会に入会し、伸仁(宮本輝)はそれに激しく反抗したという。
しかし結局父熊吾が死に、宮本輝も熱心な学会員になる。
宮本自身、「私は創価学会思想を広めたくて作家になった」とまで言っている。

実際、彼の文学には「警句」がちりばめられている。「天の夜曲」などは、
父と子の会話の中に、読んでいて「なるほどなあ」とうなる言葉がたくさんあった。
「男は自分の自尊心よりも大切なものを大切なものを持って生きにゃあいけん」――とか。

誰かが、宮本輝の小説は「学会思想のプロパガンダだ」と言った。
確かにその通りだと思う。しかしそれでもいいのではないか。
私は創価学会は、正直嫌いだが、単純に教義だけを読むと、それなりに「良いこと」を言っている。
政治団体「公明党」とつながっていることがコトをややこしくしているのだ。

宗教色の強い小説がすべてNGなら、欧米の古典などはほとんど駄目と言うことになる。
思想色の強い小説が駄目なら、小林多喜二なども駄目になる。
文学は、読み手が冷静であれば「オルグ」はされないと思う。

それはともかく本書である。
第五編。自分たち以上に貧しい者、底辺にいる者への人としての接し方を伸仁は学ぶ。
やはりここでも警句はちりばめられる。

それにしてもこのライフワーク的長編は、いつ終わるのだろう。10編ぐらいまで続きそうな勢いだ。

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