コア・テキスト国際金融論 (ライブラリ経済学コア・テキスト&最先端) の感想

国際金融論のややレベルの高い入門書。本論に入る前に、国際金融のミクロ・マクロ的視点を述べ（1、2章）、貨幣の役割を概観する（3章）という、基礎を重視した構成となっている。現実の制度や歴史よりは理論的な説明を重視するスタイルであり、数式も多い（対数の計算に慣れていた方が良い）。基本的なトピックは他の教科書とほぼ同じだが、「実証分析と為替レートをめぐるパズル」（11章）など、上級の話題を平易に紹介している点が大変興味深い。練習問題にはしっかりとした略解（「略」ではない？）が用意されているので、自習にも向いている。これといった悪い点の見当たらない優れた教科書である。