法の概念 第3版 (ちくま学芸文庫) の感想

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参照データ

タイトル法の概念 第3版 (ちくま学芸文庫)
発売日販売日未定
製作者H.L.A. ハート
販売元筑摩書房
JANコード9784480096487
カテゴリ » ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想

購入者の感想

法哲学の古典的著作です。法哲学を研究している人はもちろん、倫理学や政治哲学といった隣接分野を研究している人にとっても、必読の書だと思います。
前半部分では、法の主権者命令説に対して批判が行われ、これは少々退屈です。ただ中盤、法は「一次的ルール」と「二次的ルール」の結合だという有名な考えが提示されてからは、興味をそそる議論が展開されていきます(こんな雑な言い方ですみません)。とにかく議論が明晰なので、読みやすく、追いやすい。

翻訳としては他に、矢崎光圀監訳のハードカバーのものがあり、こちらも読みにくいわけではないのですが、いかんせん値段が高いので、買う気にならない。でもこの文庫本バージョンなら気軽に買えて手元に置いておけるので、非常に助かります。
特に50ページを超える「後記」を載せてくれたのはありがたいことこの上ない。
出版社、訳者さんには感謝したいところ。

憲法は主権者たる国民による為政者への命令だという素朴な見方は、日々の新聞や教養書にあふれています。憲法を通じて国民に義務を課すべきだという妙な議論は、その裏返しでしょう。本書の前半部分は、そうした常識を覆して法の本来の姿を明晰に示してくれます。木を見て森を見失いがちな個別法の専門家にとっても、道徳とある点では異なり、他の点では共通する法の本性が何かを考え直すきっかけを与えてくれるでしょう。
 しかし、本書の神髄は、第2版以降に付加されたハートの「後記」にあります。自らの後継者であるドゥオーキンの批判と、死の直前に至るまで格闘し、受け入れるべき点は受け入れ、拒否すべき点を根拠をもって明らかにしようとするハートの知的誠実さに心をうたれます。ハートの議論の限界を、検死官さながらに冷徹に分析するレスリー・グリーンの解説も参考になります。

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