いま、憲法の魂を選びとる (岩波ブックレット) の感想

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タイトルいま、憲法の魂を選びとる (岩波ブックレット)
発売日販売日未定
製作者大江 健三郎
販売元岩波書店
JANコード9784002708676
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購入者の感想

 
 九条の会をリードしてきた著名人5氏による、講演録(三木睦子氏・大江健三郎氏・奥平康弘氏・澤地久枝氏)&対談集(奥平康弘氏と小森陽一氏)。
 
 冒頭、故・三木睦子氏(三木武夫元首相の夫人)による生前の講演『あなたのおじいちゃまはねぇ』が、興味深い。現首相の安倍晋三氏の祖父・安倍寛氏の回想を語ったもの。一般的に安倍首相といえば岸信介元首相の孫として知られ、安倍氏自身もその血脈を深く自認しているようだが、父方の祖父・安倍寛氏は岸元首相とは大きく異なったタイプの政治家だったようだ。戦前、日本が軍部に引っ張られる形で日中全面戦争へと踏み込む中、翼賛選挙のもとで大政翼賛会非推薦で選挙を勝ち上がり、官憲による監視をかいくぐって日々街頭で平和の大切さを説いて回っていた人物だという。同じく非推薦で勝ち上がった三木元首相との親交も深く、憲兵を煙に巻いて深夜に三木氏宅にやってきては、睦子夫人の用意した握り飯をほおばりながら、三木氏と平和を論じあったそうだ。その孫・安倍首相は目下自民党を率いて政権奪還を果たすや、海外での軍事力行使に大きく道を開く9条改定を明確に打ち出している。そんな安倍氏に、平和主義者だった祖父の在りし日の姿を知る睦子氏は、今度官邸に行く機会に「あなたのおじいちゃまはねぇ……」と語りかけてやりたいと話を結ぶ。
 
 他、大江健三郎氏『この国は民主主義の国か』、奥平康弘氏『いま一度、魂を選びとる』、澤地久枝氏『意志と勇気が試されるとき』、奥平氏・小森陽一氏の対談『国民主権を守る思想としての憲法』の4点を収録。いずれも長年にわたり護憲論壇をリードしてきた大家による、日本国憲法への思い入れに溢れたメッセージだ。
 
 自民党・日本維新の会等、復古的改憲勢力の台頭によって、日本国憲法のもと戦後体制の土台となってきた立憲主義・民主主義・平和主義が危機を迎える中、当初の九条の会呼びかけ人のうち、小田実氏・加藤周一氏・井上ひさし氏、それから本書の著者の一人・三木睦子氏と4名がすでにお亡くなりになっている。

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