空也上人がいた (IKKI COMIX) の感想
参照データ
タイトル | 空也上人がいた (IKKI COMIX) |
発売日 | 2014-09-30 |
製作者 | 新井 英樹 |
販売元 | 小学館 |
JANコード | 9784091886644 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック |
購入者の感想
一見すると、新井英樹らしさを感じさせないような気がします。
無駄に人は死なないし、過剰な自意識を持った人物も出てきません。
しかし後半になるにつれ、登場人物の善悪入り組んだ気持ちが露になっていきます。
そういう点では、この作品も新井英樹作品なのだなあと思いました。
「不道徳」「不条理」「不確か」といった新井節は健在でしたが、
山田太一という要素のおかげで「やさしさ」が加わり、
とても読後感が良い作品になったんだと思います。
新井英樹の次回作での変化に期待します。
無駄に人は死なないし、過剰な自意識を持った人物も出てきません。
しかし後半になるにつれ、登場人物の善悪入り組んだ気持ちが露になっていきます。
そういう点では、この作品も新井英樹作品なのだなあと思いました。
「不道徳」「不条理」「不確か」といった新井節は健在でしたが、
山田太一という要素のおかげで「やさしさ」が加わり、
とても読後感が良い作品になったんだと思います。
新井英樹の次回作での変化に期待します。
バイオレンスや倫理を振りかざすことで社会や生死について訴え
人間を描いてきた新井先生が、自身の露悪的ともいえる作家性を一度置き
山田太一さんの原作を漫画化した作品です。
これまで痛ましい描写に注がれてきた正邪入り混じるエネルギーが
山田太一さんの言葉を視覚化するのみに絞られたことで
悪意やノイズのない、静かだけど息遣いを感じる真摯な印象を受けました。
しかし「世界は不条理で毒に満ちている」という目線は失っていません。
表紙の少女が象徴的です。無邪気なのは幸福な状態。でも花をむしるのはいけない。
人は邪気が無くても害を与えてしまう生き物なのか・・・。
魂を削って問題を糾弾するのではなく、どうしようもない人間の魂のためにこそ
生き方=罪悪との付き合い方を見つめる、やさしくも過激な本でした。
人間を描いてきた新井先生が、自身の露悪的ともいえる作家性を一度置き
山田太一さんの原作を漫画化した作品です。
これまで痛ましい描写に注がれてきた正邪入り混じるエネルギーが
山田太一さんの言葉を視覚化するのみに絞られたことで
悪意やノイズのない、静かだけど息遣いを感じる真摯な印象を受けました。
しかし「世界は不条理で毒に満ちている」という目線は失っていません。
表紙の少女が象徴的です。無邪気なのは幸福な状態。でも花をむしるのはいけない。
人は邪気が無くても害を与えてしまう生き物なのか・・・。
魂を削って問題を糾弾するのではなく、どうしようもない人間の魂のためにこそ
生き方=罪悪との付き合い方を見つめる、やさしくも過激な本でした。