ナオミとカナコ の感想
参照データ
タイトル | ナオミとカナコ |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 奥田 英朗 |
販売元 | 幻冬舎 |
JANコード | 9784344026728 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド |
購入者の感想
自分も共犯の一人として、自分にも追っ手が迫ってくるかのような、息苦しいまでのスリルを感じながら一気読みしました。
奥田作品ならではの、急展開を味わい、本当に面白かったです。
ナオミとカナコは、カナコの夫の殺害を企てます。
カナコは夫からの激しいDVに苦しめられ、カナコの親友のナオミは、とても放っておけないと、2人でカナコの夫を「排除」しようと計画を練ります。
2人は、この計画は完璧に組みあがったと、踏ん切りをつけて計画を実行します。
また、この計画には、ある大きな偶然、(2人にとっての)幸運が作用します。
読み手としては、いったんは、ここで首をかしげてしまいます。
完璧なように見える2人の計画には、読む側からすれば、いくつもの「穴」があることに気付きますし、この計画にとっての偶然は、少々ご都合主義ではないかな、という思いになります。2人が計画を組んでいる時点では、こんなことで、人を殺して逃げ切れるわけがないよな~と、組み立てが甘いストーリーかと不安にさせられてしまいます。
が!
この計画の「穴」の部分や、計画のきっかけとなった大きな偶然が、ひとつひとつ、この計画の綻びとなります。最初は、ほんの小さなピンチで、2人はこれを簡単に乗り越えて、計画は完遂するのかと思わされますが、ナオミとカナコはどんどんと追い詰められてて行きます。
つまり、計画の甘さや、偶然に助けられていたことは、ナオミとカナコにとっても、そして、読者にとっても「罠」だったわけです。
この計画に無理があることが、わざと読者に気付きやすいように用意されていたのか、と、「やられた」という気持ちになるとともに、その無理のあった部分をきっかけにナオミとカナコが追い詰められていく展開に「だから言わんこっちゃない」と、2人を責めたくなるような、それでいて、なんとか逃げ延びて欲しいような、まるで、自分が共犯の一味となって一緒に逃げているような、そして追い詰められるような、息苦しいまでのスリルを味わわされます。
奥田作品ならではの、急展開を味わい、本当に面白かったです。
ナオミとカナコは、カナコの夫の殺害を企てます。
カナコは夫からの激しいDVに苦しめられ、カナコの親友のナオミは、とても放っておけないと、2人でカナコの夫を「排除」しようと計画を練ります。
2人は、この計画は完璧に組みあがったと、踏ん切りをつけて計画を実行します。
また、この計画には、ある大きな偶然、(2人にとっての)幸運が作用します。
読み手としては、いったんは、ここで首をかしげてしまいます。
完璧なように見える2人の計画には、読む側からすれば、いくつもの「穴」があることに気付きますし、この計画にとっての偶然は、少々ご都合主義ではないかな、という思いになります。2人が計画を組んでいる時点では、こんなことで、人を殺して逃げ切れるわけがないよな~と、組み立てが甘いストーリーかと不安にさせられてしまいます。
が!
この計画の「穴」の部分や、計画のきっかけとなった大きな偶然が、ひとつひとつ、この計画の綻びとなります。最初は、ほんの小さなピンチで、2人はこれを簡単に乗り越えて、計画は完遂するのかと思わされますが、ナオミとカナコはどんどんと追い詰められてて行きます。
つまり、計画の甘さや、偶然に助けられていたことは、ナオミとカナコにとっても、そして、読者にとっても「罠」だったわけです。
この計画に無理があることが、わざと読者に気付きやすいように用意されていたのか、と、「やられた」という気持ちになるとともに、その無理のあった部分をきっかけにナオミとカナコが追い詰められていく展開に「だから言わんこっちゃない」と、2人を責めたくなるような、それでいて、なんとか逃げ延びて欲しいような、まるで、自分が共犯の一味となって一緒に逃げているような、そして追い詰められるような、息苦しいまでのスリルを味わわされます。
本日購入し、早速、一日で読破。
女ふたりで、DVの夫を殺害すると言う、筋はシンプルなモノなのだが、普通の女ふたりがどういった心理の経過を経てそういった行為に走って行くかという過程が自然で、
『なるほど、そういう事情ならそういった事もあるなあ』
と感心しつつ、ページをめくる手が止まらなかった。
細部にちりばめられている多くの伏線にも無駄がない。
よく、目先の狂言回し的感覚だけで、書いてはみたものの、結局使いきれなかったという伏線が多いなか、全ての伏線が、最後の一カ所に収斂されて行く過程はじつにお見事。
それやこれやで、最近、読んだなかでは、文句なく、もっとも面白い一冊だった。
女ふたりで、DVの夫を殺害すると言う、筋はシンプルなモノなのだが、普通の女ふたりがどういった心理の経過を経てそういった行為に走って行くかという過程が自然で、
『なるほど、そういう事情ならそういった事もあるなあ』
と感心しつつ、ページをめくる手が止まらなかった。
細部にちりばめられている多くの伏線にも無駄がない。
よく、目先の狂言回し的感覚だけで、書いてはみたものの、結局使いきれなかったという伏線が多いなか、全ての伏線が、最後の一カ所に収斂されて行く過程はじつにお見事。
それやこれやで、最近、読んだなかでは、文句なく、もっとも面白い一冊だった。