看護管理者のための実践的マネジメント―看護がリードする経営改善 (看護管理実践guide) の感想

医者や看護師は当然のことながら医療専門家である。専門家といえば、医療や看護にかんする技術や知識を磨けばよいと考えがちである。しかし、著者が述べるように、病院という組織の運営、財政運営、患者とのコミュニケーションの在り方、さらには医療制度に関する見識や問題意識、社会との関係など多角的かつ俯瞰的なが、医療経営に求められている。本著は、看護師向けに作られた経営書だ。まず経営マインドを自己採点することから始め、医療改革制度、戦略計画など組織運営に必要な要素を看護の現場にどう取り組んでゆくのを学び、そして財務分析で終わる。BSCなど企業経営で用いられた手法が看護という非営利の特殊な世界にどう適用されているのかという点も興味深い。昨今、ジェネリック・スキル（社会人基礎力）が世界の大学教育の問題として取り上げられているが、こうした最近の視点も、取り入れられている。あえていえば、もっと、手軽に読める簡易バージョンがあるとよい。