33年後のなんとなく、クリスタル の感想

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参照データ

タイトル33年後のなんとなく、クリスタル
発売日販売日未定
製作者田中 康夫
販売元河出書房新社
JANコード9784309023342
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » た行の著者

購入者の感想

主人公のヤスオ同様、読者の誰もが"記憶の円盤"が回転する本。

まだインターネットも、携帯もスマホも普及していなかった時代(当然、LINEもfacebookもなかった時代)、
『なんとなく、クリスタル』を読んで、地方在住の若者は東京のアーベインにたまらなく 憧れ、
どんな車に乗り、どんな音楽をかけ、どんな会話をするか、彼を参考にし、
まだ地方に住んでいるうちから、『ぼくだけの東京ドライブ』『東京ステディ・デート案内』
で東京デートを妄想し、上京するモチベーションを高めて、
『恋はビジネス』『恋愛事始め』『SM恋愛序説』『恋の予習、愛の復習。』で恋愛を予習し、実践にうつすもトライアル&エラーを繰り返す。
(ついでに、「田中康夫の平成性教育委員会」でおしょっくす、ペログリのお作法の予習もした)

社会人になって自由に使えるお金ができると、
『いまどき真っ当な料理店』『それでも真っ当な料理店』
で紹介されたお店でデートしたり、
彼からはテーブルマナーやワインの知識も学んだ。

一方で、
『ファディッシュ考現学』などの一連の評論を通じて、社会に対する健全な批判的精神というものを学んだ。

『東京ペログリ日記』で赤裸々にプレイボーイぶりをガラス張りに公開していた彼は、
神戸震災で
『出来る時に出来る事を出来る人が出来る限り』の精神で
率先してボランティア活動を行った。

そして、
長野県知事→国会議員を経て、
小説家としてまた僕らのもとに帰ってきた。
人間的に一回りもふた回りも成熟して。

ヤスオは言う。
「相手に喜んでもらってなんぼというのかな、いやいや、お金などにはとても換算出来ない、人間として生きて行くことの確かさを実感し合える営みなのだと思う。恋愛もヴォランティアも。そして、僕が足を踏み入れていた行政や政治も本当は。」

ヤスオは由利からたくさんの影響を受けたが、
由利もヤスオからたくさんの影響を受けて南アフリカへ飛んだ。

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