新しい広場をつくる――市民芸術概論綱要 の感想
参照データ
タイトル | 新しい広場をつくる――市民芸術概論綱要 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 平田 オリザ |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784000220798 |
カテゴリ | ジャンル別 » エンターテイメント » 演劇・舞台 » 演劇 |
購入者の感想
「新しい広場をつくる」という題名からも察しがつくように平田氏が策定に大きく関わった劇場法の成立までの道のりや、何故、日本に劇場法が必要とされるのかをフランス、イギリス、アメリカなどの文化情勢や自身の経験を元に導き出していく。本書でも垣間見える平田氏の文化芸術に対しての想いや、その想いを如何にして現実の政策にまで繋げていったのかといった平田氏のプラグマティックな姿勢には見習うべきものが多い。事実、ここまで政治的な活動にコミットメント出来た作家は日本では稀であろう。まさにアクティビストの名に相応しい。宮沢賢治と経済学者のケインズと司馬遼太郎を並べて論じられる所も平田氏独自の着眼点だろう。また、現在の日本の公共ホールや劇場が抱えている問題を鋭く指摘しており頷くところも多かった。ただ、「市民芸術概論綱要 」との副題がついている通り、現実的に劇場が「市民のための新しい広場となる」ためのソフト面での取り組みの事例紹介がやや限定的な記載に留まっていることは劇作家である平田氏の著作である以上致し方のない部分かもしれない。この本を綱要 とし読者自身が行動することによって新しい広場が作られることを願ってやまない。