木を植えよ! (新潮選書) の感想

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参照データ

タイトル木を植えよ! (新潮選書)
発売日販売日未定
製作者宮脇 昭
販売元新潮社
JANコード9784106035722
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 地球科学・エコロジー » 環境保護

購入者の感想

植樹論の本家ともいえる78才になる著者が、読者にも実践を促している「本物の森」再生運動の総括的な手引き書です。著者は、30数年もの間、内外各地1,500ヶ所以上に3,000万本以上の苗木を植えたきたそうで、豊かで確かな経験に基づく話は、やさしく明快です。

○著者が師事した独のラインホルト・チュクセン教授直伝の「潜在自然植生」という概念が要です。森は、原生林でもなく現存林でもない、その土地の環境に適応した植物群落で、再生すべきとのこと。日本の「鎮守の森」はそれに合致するそうです。○また森の植物は、25m以上の高木から、地中の黴・バクテリアに至るまで、何層にも異種の植物が狭い空間の中で譲り合い競いあい生活しています。植樹では、「多層群落」と言われるこの構成のままに密植・混植するのが大事とのこと。○日本には、用材のために針葉樹の単植造林が、また落葉樹の雑木林の里山が多い。しかし国土の大部分は照葉樹林帯にあるそうです。照葉樹は、深根性と直根性で、地震・土砂崩れ、また火にも強く、災害を防止する力となる。これを主木として森の再生を考えるべきとのこと。○植樹の失敗は、根の発育が不十分か、土中に不透水層ができたかだそうです。これを避けるために、木の実の芽が出ても1・2年ポットで栽培し、土もマウント状に盛り上げて植えるのが大事とのことです。

著者は、植樹技術だけでなく、森再生運動の啓蒙活動を草の根の学校レベル、また官にも働きかけをしてきたそうです。その際に、森を再生する目的と意義を、話し合って互いに納得しておく。情緒ではなく、知的に環境システム内での森の役割を理解する。また森再生による負の面も知っておく。これらが大事とのこと。もし植えた樹の維持が困難になった場合には、伐って土に戻せばいいと柔軟に考えています。現実主義と理想主義、実践と理論が巧みに混ざっており感心しました。

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