クリスティーン [Blu-ray] の感想

スティーヴン・キングの原作は大傑作。
分厚い文庫本(新潮文庫刊)上下巻2冊の大著ですがグイグイ引きこまれて一気に読めます。出来と怖さはキング作品の中でも上位に入ります。
前オーナーの悪霊が憑いた中古のプリマス・フューリーを買った、いじめられっ子の少年が破滅していく様を描いた少年版「キャリー」ですね。
とても恐ろしい内容ですが感動的な青春小説でもあります。
ペンシルベニア州ピッツバーグが舞台ですが、ここは寒さの厳しい土地だそうで雪模様の描写が恐怖感と寂寥感を盛り上げます。
ピッツバーグは言わずと知れたジョージ・A・ロメロ監督の本拠地で、本書はロメロと彼の奥さんに捧げられています。クリスティーンの名前はロメロ夫人の名から取った説が有力。
映画「ゾンビ」で主人公たちが立て籠もったモンローヴィル・モールも登場します。

本作の監督であるジョン・カーペンターは「炎の少女チャーリー」を撮る予定でしたが「遊星からの物体X」が興行的に惨敗してクビになってしまい本作の製作に移行しました。
映画版は原作の大半を占めているドラマ部分をばっさりカット、前オーナーの悪霊の要素も省いて車自体が邪悪な意志を持っている設定に変更。原作に比べると味気ない内容になってます。
では面白く無いのかというと、そんなことはありません。アナログ特撮全開のクリスティーンのモンスターな暴れっぷりに焦点を絞った楽しめる映画に仕上がっています。
カーペンター監督は物体Xもそうでしたがアナログ特撮の見せ方が上手い人ですね。監督が作曲したサントラもクールで格好良くて最高です。「ハロウィン」のサントラもインパクトがあって好きですが格好良さでは本作の方が上です。
舞台はピッツバーグから撮影の都合でロサンゼルスに変更。ロケ地の変更は良いとして厳しい冬の雪の描写がカットされてしまったのは残念至極。

出演陣は主演に「殺しのドレス」のキース・ゴードン。彼は後に監督に転職しました。
主人公の親友役は「トップガン」のジョン・ストックウェル。冒頭の実戦でパニクってトム・クルーズに助けられたあのパイロットですな。