日本はじっこ自滅旅 (講談社文庫) の感想

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参照データ

タイトル日本はじっこ自滅旅 (講談社文庫)
発売日2011-01-14
製作者鴨志田 穣
販売元講談社
JANコード9784062768719
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » か行の著者

購入者の感想

著者の作品初購入。
自滅旅なる一文に興味をそそられた。

本書は題名のまんま煙霞のこしつな著者による紀行文である。
章仕立てではないが恣意的に分類すると女房と犬も喰わない夫婦喧嘩をして闇夜に鉄砲長い草鞋をはく『はじっこ探訪』編
病院でとある二壽の診断を受け、そのショックから旅立つ『手術逃避行』編。

この二編が中心軸の役割を果たしています。

南北に延びる日本列島を北は東北、南は九州等まで観光名所を敬遠しつつ独りで彷徨く。

気の向くままの直情径行溢るる跋扈旅は読み手からするとかなり羨ましく感じます。
明確な目的を所持しての旅立ちではないので思い込まないよう。

著者の書く文章はとても読みやすくすっと頭の中に入り込み、脳内でその情景・風景・光景が大いに想像でき、まるで自らが南船北馬になったようなそんな錯覚さえ覚えさせる。

著者が既に死去していたことはカバー折り返しの著者紹介で知った。
きっと、そっちでもはじっこ巡りにらんかしているのだろう。

ご冥福をお祈りします。

「空は空 海は海 森も風も、男女の恋も、何もかもただ思いのまま言葉にし歌にする

 
 何もない、何もしない八百万の神を感じるままに生きてきて、唯一「かたち」として残ったのが「歌」なんだろうか」

 本当に美しく透き通った文章だなと思う (本人はきっとアルコールで朦朧とした意識の中思考しているのだろうけど...)

 この本も著者が残した「かたち」である

本当に自分が駄目なとき、それを救い上げてくれるのはけして前向きな言葉や音楽ではなく

どうしようもなく駄目な小説や、歌なんだと実感してるのだが、この本を読んだ時もそんな風に自分には作用した

しかしだからと言って、この本が絶望的で真っ暗闇の小説ってわけじゃない

むしろそこはかとユーモアに包まれてるし、そこがキモなんだと思う

いつでも自分を客観的に見つめる目を持ち、自分の駄目さを笑い飛ばせる 実際は目をそむけたくなる恥じ多き自分でしかなくとも...

とにかく何も出来ないかもしれないし、たぶん何も出来ないだろうけど、

もう一度だけでも立ち上がってみようと読んだ後に思える小説です

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