イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告 の感想

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参照データ

タイトルイェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告
発売日販売日未定
製作者ハンナ・アーレント
販売元みすず書房
JANコード9784622020097
カテゴリ » ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想

購入者の感想

アイヒマン裁判について書かれていますが、全体にハンナ・アーレントの哲学理論が書かれていて、少しむずかしいようです。日本語訳がこなれていない所もあって、英語の方がわかりやすいのかなと思いました。今ならもう少しわかりやすく翻訳するのでしょうが、1969年(初版)なので仕方がないかなとも思います。本の価値としてはかなり良いです。

これは「イェルサレムのアイヒマン」についての本ではない。
「悪」についての本である。

特定の時代、特定の政権下、特定の歴史背景の中で起きた事件を取り上げてはいるが、
実は、そういった時代に生きた、
「アイヒマン」という名の人間が体現した、普遍的な「悪」についての本なのだ。

もちろん、国家社会主義労働者党、ヒトラー政権下での戦時犯罪行為に関わることなので、
ある程度の予備知識があるとより深く読むことはできるが、
逆に「ナチス」「ホロコースト」「イスラエルによる追及」などに気を取られ過ぎると、
この本の真の意味は見えてこない。
もちろん、そういった一次史料としても充分価値はあるのだが、
「ナチスのアイヒマン」の事を書いた本だと思い込まない方が良い。

では、この本に書かれたうち、真におそるべきことは何か。

今、あなたの身近にこんな人がいる。あなた自身であるかもしれない。

社会的に有能で、職務のために力を尽くし、それを楽しみ、
仕事の成果に責任と自信を持つ。

なんら欠点ではない。
むしろ賞賛され、おそらく現代のどの文化にあっても、立派な社会人と見なされるだろう。
これができてこそ一人前、とも言われているようだ。

アイヒマンにとって、その仕事が「ユダヤ人問題」だったというだけのことだ。

自分の仕事に誇りを持ち、能力を信じ、上司や部下と協力し、全力で職務に励む。
自他共に認める「ユダヤ人問題のスペシャリスト」が、アイヒマンだった。

そのことに戦慄する。

「ホロコースト」の邪悪さについてはいまさら言うまい。
同じ人間を、民族や文化や思想、あるいは性的指向が異なる、肉体的精神的障碍がある、
というだけで、隔離し酷使し、人体実験の対象にし、
「使えない」ものは壊れた道具のように「処理」する。
「悪」の一つであろう。
「ドイツ第三帝国」が降服した後、明らかにされた絶滅収容所の様子を見れば、

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