勝ち続ける男 モウリーニョ スペシャルワン、成功の理由 の感想

稀代のサッカー監督、ジョゼ・モウリーニョがイングランドのチェルシー・フットボールクラブの監督として、自身2度目の就任となった2013−2014シーズン前後を、フリーライターの著者が説明している作品。

徹底した勝利至上主義を貫き守備を重視するモウリーニョが、1度目の任期を終えることになったきっかけは攻撃志向を目指すオーナーとの仲違いであった。アンドリー・シェフチェンコやミヒャエル・バラックといった当時の大物選手がオーナー主導のマーケティングで獲得され、ダミアン・ダフやウィリアム・ギャラス、エイドル・グジョンセンといったモウリーニョ政権を支えた数名の主力の流出につながり、モウリーニョのチームらしい安定さを書くようになったことは今でもよく覚えている。
今回もオーナーからは攻撃志向を求めながら、勝てるチーム作りを求められるモウリーニョの葛藤がひしひしと伝わってくる内容だった。

個人的にチェルシーのファンという下地があったので、特に苦もなく読み終えることができたが、本自体の構成はお世辞にも優れているとはいいがたい。構成も何もあったものではなく、「モウリーニョのこんなすごい話もあるんだ、あ、あとこれも、それも・・」という説明をされているようで、時系列で纏めるなり、モウリーニョの持つ能力別に構成してみるなり工夫すべきだと思う。

モウリーニョのチェルシーらしい秩序がこの本には欠けている。