暇と退屈の倫理学 の感想

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タイトル暇と退屈の倫理学
発売日販売日未定
製作者國分 功一郎
販売元朝日出版社
JANコード9784255006130
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 人生論

購入者の感想

20世紀は豊かになって「好きなこと」ができるようになった人々があまり幸せでもなくて、実は「好きなこと」じたいもよくわかっていなかったという驚愕の事実にみんなが気が付いた時代であった。21世紀は豊かになって「長生きできる」ようになった人々があまり幸せでなくて、実は「長生きしてしたいこと」もよくわかっていなかったという驚愕の事実にみんなが気が付く時代になるだろう。『暇と退屈の倫理学』はそんな時代に備えるための振りかえりであり、試みだと思う。『暇と退屈の倫理学』というタイトルに反して、まったく退屈せず一気に読めた。

著者はラッセルやガルブレイスを引いて現代人の置かれた状況を次のように分析する。資本主義が比較的うまくいっていた20世紀、一部の先進主義諸国は、それまでは王侯貴族の生活に匹敵するほどの快適な生活を庶民まで享受できるほどの富を生み出し、人々が労働以外の活動に費やせる時間も劇的に増えた。これは人類史上なかったできごとなので、人々は手にした金と暇でさあ何をしようかと迷ってしまった。そこへ産業文化ビジネスがご親切にも「これが楽しいことですよ」「こういうことがしたかったんでしょう」と手を差し伸べ、金をせしめていく。なんでこんな倒錯したことになっているのかというと、人間は退屈を嫌うから。暇をもてあますことによる不満や不安を、商品として提供される娯楽で解消しようとする。

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