スローなブキにしてくれ ブルーレイ [Blu-ray] の感想

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参照データ

タイトルスローなブキにしてくれ ブルーレイ [Blu-ray]
発売日2012-09-28
監督藤田敏八
出演浅野温子
販売元角川書店
JANコード4988111142542
カテゴリDVD » ジャンル別 » 日本映画 » ラブロマンス

購入者の感想

余談から始めたい。
先日、あるラウンジで、ワンテーマ・カラオケと称し、角川映画のテーマ曲を次々と歌う内、南佳孝による今作の主題歌を入れた処、これって角川映画だったの?と皆に言われ、答えに窮してしまった。
だって、原作は片岡義男だよ、でも、今日では、角川映画が角川書店のメディア複合型ビジネスモデルであった事さえ知らない人たちが多いと思い、説明するのを止めた。
で、どんな映画だったの?と聞かれ、またまた答えに窮してしまった。
81年の公開時は学生だったが、青春映画としての浅野温子と古尾谷雅人の若者カップルの物語よりも、山崎努や原田芳雄ら中年男たちのぐだぐだとした生き様の方が妙に印象に残っていたからだ。
とは言え、21歳のガキには、不良中年たちの情念など分かるハズもなく、初見時は、作品に流れる微熱と倦怠なムードに酔っていた感があった。
あれから30年、すっかり彼らの年齢に追いついてしまった今でなら、当時とは違った思いを抱くんじゃないかと思い、購入、早速鑑賞した。

本作の山崎努は、アパレル関係の会社役員だが、もう長い間出社していない。妻と離婚、養育権を巡り、調停中のようだ。
更に、仕事上の関係で知り合った原田芳雄と浅野妙子の夫婦と三角関係に陥り、どちらが父親か分からない子供の養育費を払い続けながら、今も三人で奇妙な同棲生活を送っている。
そんな山崎が愛車ムスタングで拾った女が浅野温子。親子ほどの年の差があるふたりだったが、アンニュイな中にも互いに惹かれる関係となっていく、、、。
収まり返る事が出来ない、分別を持って生きていく事が出来ない、みっともなくもぐだぐだとして、拘り、つっぱりながら人生を始めようとしない、愛のさすらいびとのような男の心情。
如何にも、あの時代の中年の心情吐露映画みたいな感覚で、さすがは、監督藤田敏八、脚本内田栄一作と認識出来、改めて面白く観れたが、どこかで甘いと思えてしまうのは、自分が分別ついたツマラナイ中年になってしまったとの事なのか。
それとも、今は、こんな“夢”を見る事すら出来ない時代になってしまったとの事なのか。

浅野温子は当時20歳。今、見直しても、実に凛々しく魅力的だ。

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