マーケティングを学ぶ ちくま新書 の感想
参照データ
タイトル | マーケティングを学ぶ ちくま新書 |
発売日 | 2014-02-07 |
製作者 | 石井淳蔵 |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 |
購入者の感想
著者の著作に関しては、1993年出版の「マーケティングの神話」から接していますが、17年後に書かれた本書で、1993年以来のブランド論を見事に整理消化し、著者流にマーケティング論として纏め上げています。
その中で印象的だったのが、戦略を支える組織体制を論じている章で、戦略を実現するための組織体制が、時として戦略を制約する可能性を、パナソニック社を引き合いに出して、説いています。これは、2012年の現時点において、家電メーカーが苦戦する理由の説明としても説得力があります。つまり、生活者起点で商品あるいはブランドが提供されるべき成熟化市場において、固定化した自社流通網を維持するために、これまで同様の生産者起点の商品(ブランド)提供が繰り返されている、というものです。
一方、ブランドの成長については、製品カテゴリーとの絆の強化による「ポジショニングの強化」か、確立したブランド・エクイティを他製品に拡張する「ブランド拡張」か、の選択において、「成長期にはポジショニング」「成熟期にはブランド拡張」としており、ライズ&トラウト「マーケティング22の法則」の読後では切れの悪い印象を抱いてしまいます。
総評としては、マーケターのためのマーケティングの書というよりは、マーケティング志向の現代企業経営のあり方を模索した書物と言えるでしょう。論点はユニークですが、明快かつ分かりやすいので、著者の往年のファンのよしみもあり、点数は5点満点です。
その中で印象的だったのが、戦略を支える組織体制を論じている章で、戦略を実現するための組織体制が、時として戦略を制約する可能性を、パナソニック社を引き合いに出して、説いています。これは、2012年の現時点において、家電メーカーが苦戦する理由の説明としても説得力があります。つまり、生活者起点で商品あるいはブランドが提供されるべき成熟化市場において、固定化した自社流通網を維持するために、これまで同様の生産者起点の商品(ブランド)提供が繰り返されている、というものです。
一方、ブランドの成長については、製品カテゴリーとの絆の強化による「ポジショニングの強化」か、確立したブランド・エクイティを他製品に拡張する「ブランド拡張」か、の選択において、「成長期にはポジショニング」「成熟期にはブランド拡張」としており、ライズ&トラウト「マーケティング22の法則」の読後では切れの悪い印象を抱いてしまいます。
総評としては、マーケターのためのマーケティングの書というよりは、マーケティング志向の現代企業経営のあり方を模索した書物と言えるでしょう。論点はユニークですが、明快かつ分かりやすいので、著者の往年のファンのよしみもあり、点数は5点満点です。