人質の朗読会 (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトル人質の朗読会 (中公文庫)
発売日2014-02-22
製作者小川 洋子
販売元中央公論新社
JANコード9784122059122
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者

購入者の感想

 最初から主人公である8人の人質は死んでしまったと、わかって始まる8人の物語に静かに耳を傾けられるのだろうか。痛みばかりではなくいとおしさをもって寄り添いながら読み進められるのだろうかと恐る恐るページをめくった。しかし人質たちが物語を語ることになったいきさつを語った冒頭部分ですでに物語にからめ捕られていく。「いつになったら解放されるかという未来」ではなく「自分たちの中にしまわれて」「決して損なわれない過去」に耳をすませることが必要なのだ。と、小川ワールドに深く静かに潜っていけるのだった。
 それぞれのささやかな日々の生活の中のささやかな物語が、どれほどいとおしくどれほど生の輝きを持ってこちらに迫ってくるか。だからかわいそうというのではない。読後に残る涼やかな印象はなんだろう。彼らは生きているのである。物語を通して生き続けているのだ。
 全編を読み終わった後に「もしも自分だったら何を語るだろうか」と考えた。そして物語ることの意味、物語ることの必要性を改めて考える。物語のイメージを左手に握りしめ、右手で今自分のできることを一つ一つ丁寧に生きていこうと、勇気をもらった一冊。こんな時代だからこそ多くの人に読んでほしい一冊。

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