戦争の日本中世史―「下剋上」は本当にあったのか―(新潮選書) の感想

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タイトル戦争の日本中世史―「下剋上」は本当にあったのか―(新潮選書)
発売日2014-07-25
製作者呉座 勇一
販売元新潮社
JANコード登録されていません
カテゴリ » ジャンル別 » 歴史・地理 » 歴史学

購入者の感想

日本中世史の大雑把なイメージというと、元寇、南北朝、応仁の乱、下克上の時代、などというイメージだろう。
本書は、そういった教科書でちょっとずつ知っている事柄のイメージを崩してくれるような本である。

例えば、元寇は非常にドラマチックに書かれることが多いが、神風がないのは知っていたが、一回目の段階で日本側はかなり良く防戦していたというのは知らなかった。
竹崎季長が所領がないために小部隊だったという特殊事情もなるほどと思った。
また、悪党は単に相手の批判のための道具で、一般的なそういう存在がいたわけではない、武士は基本的に戦いを避けたがる、などの指摘も面白かった。

全体的には非常に面白い指摘が多いのだが、既存の歴史学がよく分析できていないことに対する「階級闘争史観にとらわれている」という批判がこれでもかとばかりに出てくる。
実際そうなのかもしれないが、その話をここまで表に出しまくる必要性はなく、単に既存の説の不備を指摘すればそれで十分な気がする。
また、最近の通説なのか、筆者の独自説なのか、が微妙な記述も多く、論文の出典等がきちんと明示されていないので、どこまで通説でどこからが筆者オリジナル(論拠も含め)かが分かりにくい印象を受けた。
他にも「今でしょ」「倍返しだ」のような流行語が時折はさまれていて、数年後に読まれることはあまり想定されていないようなのは残念に思った。
内容は面白いので、もう少し書き方を工夫すればよかったように思う。

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