経営の処方箋---社長の悩みに効く67のアドバイス の感想

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外資系企業数社で経営者の経験を持つ著者が経営者に向けて疑問に答える形式で67の質問に答えた本である。
経営者が持つ普遍的な課題や従業員が企業に勤める際に持つべき意識、中小企業から大企業に発展するうえでの経営者が意識すべきことが経営の実践教科書のように記述されている。
記載されている内容は極めて常識的であり、経営者としての経験を持たない読者にとってはほとんど違和感を持つことはないだろう。このことは逆に言えば、氏の歩んできた大企業の日本法人社長という、オーナー企業の経営者が持つべきビジネスの独創性が求められない経営を行ってきたことによる。
現実の企業はビジネスモデルの構築と改善、改革を繰り返すのであり、同時に従業員のモチベーション向上や権限移譲、資金繰り・経営数値の達成というテーマを同時に果たすことが求められる。しかし、外資系企業の日本法人の場合、外資の製品やカルチャーを日本にフィットさせること、外国親会社からの要求をうまく取り込んで達成するという後者の側面の要素が強く求められる一方で、ビジネスモデルの構築やビジネスの独創性についてはあまり必要とされない。日本に大規模な法人を持つメジャーな外資企業であれば既に本国でそのモデルは構築されているからだ
しかし、一番難しいのはビジネスモデルの構築と独創性であって、常識人であればあるほど、革新性が生まれづらいのはどの業界でも共通するところである。経営書を読んだことがない人にとっては、一定の満足度を得られるが、既に複数の書物を読んでいて、ある程度の教科書的な知識を習得した人には満足度が薄いと考えられる。その意味で☆3つとした。