ビジネス法務の部屋からみた 会社法改正のグレーゾーン Gray area in Companies Act Revision from the viewpoint of Business Law の感想
参照データ
タイトル | ビジネス法務の部屋からみた 会社法改正のグレーゾーン Gray area in Companies Act Revision from the viewpoint of Business Law |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 山口 利昭 |
販売元 | レクシスネクシス・ジャパン |
JANコード | 9784902625783 |
カテゴリ | 社会・政治 » 法律 » 暮らしの法律 » 法律入門 |
購入者の感想
先生が普段、ご多忙の中をブログで精力的に書かれたものを集約し、「会社法改正のグレーゾーン」と称したものですが、会社法改正という視点でまとめるなら、今一度、何がグレーゾーンかの見極めを行い、丁寧に追記するなど、手直しいただきたかったと思います。会社法に定める内部統制システムの内容が最もグレーゾーンであり、それに依拠して監督のための情報収集等を行わざるを得ない社外取締役や社外監査役の役割と責任、注意義務の程度も当然にグレーゾーンと言えます。ただ、その問題を例えば、リスク認識に関して、「ファースト&ロー」や「服従実験」の研究実験を引用して、集団的思考のワナや利用可能性ヒューリスティック、倫理の死角の問題として片付けてしまうのは、少々乱暴ではないでしょうか。内部統制システムにおいて、リスクを適時、適切に認識し、低減の統制を施せない問題は、特定カテゴリーのリスクに対して、関係部門が組織横断的に連携できないミドル主体の日本企業の管理体制や、縦の事業部門の業績追求のための指揮命令系統に頼るあまり、本部の職能部門や地域統括会社による横串の統制が効きにくくなる脆弱なコンプライアンスやモニタリングの体制にまで関連付けてご説明いただけたら、もっと企業の実情に即した分かりやすい解説になったように感じます。また、社外取締役の具体的な役割はまず経営者の任免と断じておられますが、あまりにも割り切りすぎた説明であり、会社法の改正によって、そのような強大な権限が与えられたかのような誤解を招きます。その説明のあとに記載された取締役会型の社長解任劇事例リストはほとんど、社内取締役や部次長クラスの良識による解任の事例であり、社外取締役による経営者解任権行使の事例ではありません。むしろ真の役割は、暴走する経営者に助言して気づきを与え、社内取締役等の理解、協力を得て、そのような破滅に至るのを回避することと考えます。急いだ出版は先生の本意ではないと思いますが、本書の中に緻密さがもっとほしい説明が散見され、もったいないと思います。第2刷以降での先生らしい切れ味の効いたブラシュアップを期待します。