江戸百夢 近世図像学の楽しみ (ちくま文庫) の感想

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参照データ

タイトル江戸百夢 近世図像学の楽しみ (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者田中 優子
販売元筑摩書房
JANコード9784480426994
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購入者の感想

知の豊穣な大海へのいざないとも言うべき様々な「近世図像」を取り上げて、田中優子氏の博識ある文がまた彩りを添え、知らない世界を知る喜びへと連れていってくれました。最近読んだ本の中では1番に上げられる書です。

著者田中優子氏は、法政大学教授でTBSのサンデーモーニングのコメンテーターとしても活躍されています。そのような活躍や業績で本書を眺めたわけでなく、読み進める内に面白くてやめられなくなるような記述の連続でした。
読後に調べてみたら、本書は芸術選奨文部科学大臣賞やサントリー学芸賞受賞作品でした。権威によりかかる訳でもありませんが、選ばれるだけの内容を内在している本なのは間違いありません。

掲載文の半分は「朝日ジャーナル」に連載されていたもので、同誌の休刊に伴い、残り20本を数年後に書き足し1冊の本にしたそうで、編集者の粘り強さと感性の鋭さにもまた驚きます。この40本は、それぞれ見開きで解説が書かれ、次の見開きで作品が掲載されるという形式になっています。

筆者の専門の「江戸」がキーワードになっていますが、取り上げられている範囲は遥かに広いものでした。「近世オランダあの顔この顔」ではフェルメールの絵画に登場する少女の顔を取り上げ、「蠱惑する襞」ではベルニーニの傑作が紹介されています。それらを評する切り口も斬新で、この碩学は洋の東西を問わない博識振りを披露してくれました。

取り上げられた作品もまた魅力的です。伊藤若冲「雪中錦鶏図」、曽我蕭白「群仙図」「石橋図」、円山応挙「百蝶図」、鈴木其一「夏秋渓流花木図屏風」、そして大好きな広重の「名所江戸百景」は2本分書かれていました。
学者でありながら、ジャーナリストの感覚や作家としての巧みさを兼ね備えた田中優子氏の知性にただただ畏怖するような書籍でした。絶賛します。

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筑摩書房から発売された田中 優子の江戸百夢 近世図像学の楽しみ (ちくま文庫)(JAN:9784480426994)の感想と評価
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